セッション情報 一般演題

タイトル 093:

放射線治療併用ソラフェニブ不応の肝細胞癌腸骨転移に動注療法が有効であった一例

演者 坂本 六大(公立八女総合病院 内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院 内科), 平井 真吾(公立八女総合病院 内科), 丸岡 浩人(公立八女総合病院 内科), 城野 智毅(公立八女総合病院 内科), 徳安 秀紀(公立八女総合病院 内科), 澤田 昌幸(公立八女総合病院 内科), 立石 秀夫(公立八女総合病院 内科), 水上 直久(同放射線科), 吉田 博(公立八女総合病院 内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【はじめに】進行肝細胞癌(HCC)に対する治療はソラフェニブが有効とされStage IV-Bであれば第一選択とされている。ソラフェニブが不応であった場合に継続するべきか、他治療へ変更すべきか判断が困難である。今回腸骨転移を伴うHCCにおいて放射線照射を併用したソラフェニブを開始したが急速に増悪したため骨転移への動注療法が奏効した症例を経験した【症例】77歳女性、C型慢性肝炎。2007年12月、肝S8:径30mmのHCCに対してTACE施行。2008年1月、肝S3:径15mmのHCCに対してRFA施行。2008年11月多発HCCに対してLFP短期動注後TACE施行した。2009年8月、S5:20mm HCCに対してTACE施行。2010年1月AFPの急上昇、S8にVp2伴う急速増大するHCCが出現し、LFP短期動注後TACE施行した。AFPは一旦低下したが、2010年6月AFPの再上昇した。肝内病変に再発はみられなかったが左腸骨骨転移と肺転移が認められた。2010年7月からソラフェニブ400mg/dayを開始し疼痛を伴った骨転移に対して放射線治療3Gy×15回でTotal:45Gyを併用した。疼痛は増悪し歩行困難となりAFPは1860から19200ng/mLと急上昇、CTでもPDの判定であった。ソラフェニブは中止し7月29日から簡易リザーバーを用いて内腸骨動脈へNFPを2クール施行した。8月9日簡易リザーバー抜去時に動脈塞栓を加えた。1カ月後AFPは294ng/mLまで低下、CTではPRが得られ、疼痛は著明に改善し歩行可能となり9月18日退院となった。全身化学療法としてはTS-1:50mg/day開始し、肺転移はSDで経過した。【まとめ】ソラフェニブは進行HCCに対して奏効率は低いが、病勢制御することで予後を延長するとされる。PDの場合も肝外転移にあきらかに有効な治療は証明されておらず継続投与されることもある。今回放射線治療併用ソラフェニブ投与行うも効果のみられなかった骨転移を伴うHCCに対して、骨転移に対するNFP動注療法を中心とした治療を行い奏効した。ソラフェニブ不応の進行HCCにおいて継続投与の有効性も示されておらず、状況に応じて他の治療が可能であれば変更も検討していいのではないかと考えられた。
索引用語 肝臓, 腫瘍