セッション情報 シンポジウム2「慢性肝炎治療の現況」

タイトル S2-09:

B型慢性肝炎に対するラミブジン、アデフォビル長期治療の臨床経過に及ぼす影響

演者 姫野 克郎(姫野内科医院)
共同演者 本田 浩一(大分B型肝炎研究会), 清家 正隆(大分B型肝炎研究会), 成田 竜一(大分B型肝炎研究会), 荻原 健(大分B型肝炎研究会), 加藤 有史(大分B型肝炎研究会), 室 豊吉(大分B型肝炎研究会), 寺尾 英夫(大分B型肝炎研究会)
抄録 【目的】2007年からB型慢性肝炎に対する核酸アナログ製剤はエンテカビルが第一選択となっているが、2000年~2006年まではラミブジン、その耐性ウイルスに対してアデフォビルが投与され、10年を超える長期経過例も出てきている。今回はラミブジン(LAM)、アデフォビル(ADV)で治療された症例の経過を分析し、その長期的な治療効果について検討した。
【対象】大分B型肝炎研究会で県内の多施設から集めたB型慢性肝炎症例185例(慢性肝炎:肝硬変=105:80、男性:女性=133:52、年齢中央値51歳、治療期間中央値67ヶ月)。
【結果】LAMのHBVDNA陰性化率は1年で83.8%であった。LAM耐性株出現率は1年で14.9%、3年45.6%、5年60.1%、7年68.6%であった。またLAM耐性株出現率はHBVDNA量7log未満例と7log以上例で有意差を認めなかったが、HBe抗原陰性例は陽性例より有意に低かった (p=0.0015)。一方、ADVは95例のLAM耐性株出現例に投与され、HBVDNA陰性化率は1年で75.3%、3年88.8%であったが、ADV開始時HBVDNA量が7log未満例は7log以上例より有意に高かった(p=0.0001)。最終観察時点においてHBVDNA陰性でLAM単独継続例は76例、その内5年以上のLAM継続例は22例であった。またADVの追加された95例の内HBVDNA陰性化例は73例であったが、その内10例にHBVDNA再陽性化、また1例に顕著なViral breakthroughを認めた。発癌例はLAM開始時に肝癌の合併、既往のない150例において17例(11.3%)であった。
【結語】LAMとADVは両者を合わせると8割の症例のHBVDNA陰性化が達成され肝炎沈静化、発癌抑制に一定の効果があると思われる。しかし2割はADV追加にてもHBVDNA陰性化が得られておらず、またViral breakthrough例もあり、今後はこれらの症例への対応が重要である。
索引用語 B型肝炎, ラミブジン