セッション情報 一般演題

タイトル 028:

進行大腸癌との合併が疑われた胃原発腺扁平上皮癌の1例

演者 須古 信一郎(済生会熊本病院 消化器病センター)
共同演者 江口 洋之(済生会熊本病院 消化器病センター), 井戸 佑美(済生会熊本病院 消化器病センター), 齊藤 宏和(済生会熊本病院 消化器病センター), 鈴木 博子(済生会熊本病院 消化器病センター), 吉田 健一(済生会熊本病院 消化器病センター), 上原 正義(済生会熊本病院 消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 森北 辰馬(済生会熊本病院 腫瘍センター), 境 健爾(済生会熊本病院 腫瘍センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 中央検査病理)
抄録 症例は75歳女性。平成23年5月初旬、右側腹部痛のために前医受診。腹部超音波検査にて肝腫瘤性病変があり、CEA 164.8ng/dlと高値であった。転移性肝癌を疑われ、造影CTを施行されたところ、肝S5・S6・S7に辺縁に造影効果を呈する低信号腫瘤を認めた。胃体部大弯に壁構造が破壊された腫瘤像があり、S状結腸~直腸に壁肥厚も認められ、当院紹介となる。上部消化管内視鏡検査にて胃体上部後壁に径50mm大、立ち上がりが急峻な周堤を持ち、中心に不整な潰瘍面を伴う隆起性病変を認めた。生検では低分化型腺癌の一部に異常角化像や細胞間橋が見られ、扁平上皮への分化の所見があり、腺扁平上皮癌と診断した。さらに全大腸内視鏡検査を施行したところ、S状結腸~下行結腸移行部に全周性の周堤を伴う潰瘍性病変を認めた。潰瘍面は狭窄のために観察不良であったが、生検で中分化型腺癌(tub2)と診断された。組織型の違い、播種を認める所見がなかったことから、胃原発の腺扁平上皮癌と大腸癌の重複癌と診断し、S-1 80mg/dayによる全身化学療法を開始した。しかし一か月後には摂食困難となり当科に緊急入院。入院時のCTで腸閉塞の所見であり、大腸病変の狭窄・癌性腹膜炎が原因と考えたため、手術適応はないと判断して緩和療法に移行したが、第12病日に永眠された。胃原発腺扁平上皮癌で稀であるが、胃癌と進行大腸癌との重複癌はさらに稀である。治療方針に苦慮した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胃原発腺扁平上皮癌, 重複癌