セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専24:2度の急性肝炎を発症した抗核抗体陰性の自己免疫性肝炎の1例 |
演者 | 國本 英雄(福岡大学消化器内科) |
共同演者 | 土屋 直壮(福岡大学消化器内科), 四本 かおる(福岡大学消化器内科), 福永 篤志(福岡大学消化器内科), 櫻井 邦俊(福岡大学消化器内科), 岩下 英之(福岡大学消化器内科), 平野 玄竜(福岡大学消化器内科), 上田 秀一(福岡大学消化器内科), 森原 大輔(福岡大学消化器内科), 横山 圭二(福岡大学消化器内科), 西澤 新也(福岡大学消化器内科), 竹山 康章(福岡大学消化器内科), 坂本 雅晴(福岡大学消化器内科), 入江 真(福岡大学消化器内科), 岩田 郁(福岡大学消化器内科), 釈迦堂 敏(福岡大学消化器内科), 早田 哲郎(福岡大学消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学消化器内科) |
抄録 | 症例は63歳女性。高血圧症にて近医で内服加療されていた。2011年4月中旬に全身倦怠感、食欲不振、皮膚の黄染に気付き、同月28日に近医を受診した。血液検査でトランスアミナーゼの著明な上昇を指摘され、同日夕方に当院に紹介、緊急入院となった。既往歴として2001年(53歳時)にも肝障害を指摘され、その後肝障害が悪化し、当院救命センターへ搬送された。重症急性肝炎と診断されたが、原因は不明であった。肝庇護療法のみで軽快し退院となった。その後は、近医でUDCA内服を継続されていた。当院入院時は意識清明であり肝性脳症はみられなかったが、AST:2730 IU/L、ALT:1247 IU/Lと著明な肝細胞障害とPT活性:23%と低下を認めた。免疫学的検査では抗核抗体陰性、IgG:1371 mg/dlと正常値であり、また抗平滑筋抗体、抗LKM-1抗体、抗ミトコンドリア抗体、M2抗体のいずれも陰性であった。入院時では肝障害の正確な診断はつかなかったが、劇症化する懸念があったため、入院当日の深夜からステロイドパルス療法(mPSL 500 mg/day)を開始した。ステロイド開始後、肝酵素は急激に改善した。その後、経皮的肝生検を施行し、病理組織の結果、著明な門脈域の炎症細胞浸潤と線維性の拡大、小葉内への炎症細胞の浸潤(炎症細胞はほとんどがリンパ球)、肝細胞のロゼット形成を認めた。これらより自己免疫性肝炎(AIH国際診断基準スコア:15)が最も考えられた。抗核抗体が陰性であっても急性肝炎を繰り返す中年以降の女性患者をみた場合は自己免疫性肝炎を念頭におき、早期にステロイド療法を考慮する開始する必要があると考えられた。 |
索引用語 | 自己免疫性肝炎, ステロイドパルス |