| セッション情報 | ワークショップ4「進行肝細胞癌の治療戦略」 |
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| タイトル | WS4-05:当科における進行肝細胞癌の治療戦略 |
| 演者 | 福林 光太郎(熊本大学 消化器内科学) |
| 共同演者 | 田中 基彦(熊本大学 消化器内科学), 紙屋 康之(熊本大学 消化器内科学), 葦原 浩(熊本大学 消化器内科学), 吉丸 洋子(熊本大学 消化器内科学), 立山 雅邦(熊本大学 消化器内科学), 永濱 裕康(熊本大学 消化器内科学), 佐々木 裕(熊本大学 消化器内科学) |
| 抄録 | 【目的】根治的治療の適応外で、かつ遠隔転移や脈管侵襲がない肝細胞癌に対してはTACEが標準治療であり、脈管侵襲を伴う進行肝細胞癌については肝動注化学療法が施行されてきた。しかし近年、TACE不応・不能という概念が根付き、またソラフェニブの登場により、肝細胞癌の診療は大きく変わろうとしている。そこで当科における肝細胞癌に対する初回TACE、肝動注化学療法、ソラフェニブによるそれぞれの治療成績についてまとめ、進行肝細胞癌に対する適切な治療選択について検討した。【方法】初回TACEは05年以降施行した127例を対象として、肝動注化学療法は04年以降にStage 3/4の高度進行HCCに対して施行した110例を対象として、ソラフェニブ治療は09年以降に治療を開始した39例を対象として奏効、生存について検討した。【結果】127例中1~4回のTACEにより59例(46.4%)にCRが達成された。初回TACE後の累積生存率は1年、2年、3年、5年はそれぞれ92.9%、74.9%、53.7%、29.5%であった。多変量解析では、腫瘍径が小さいこと、AFP L3陰性、CR達成が、生存に寄与する独立因子であった。肝動注化学療法は、奏効率26.4%(CR 4例、PR 25例、SD 42例、PD 39例)、50%生存期間(MST)343日で、治療効果に応じて生存期間は異なり、MSTは、CR 1381日、PR 798日、SD 347日、PD 226日であった。累積生存率は1年44.8%、3年18.3%であった。初回治療、ALT低値が有意な奏効因子であり、肝外転移あり、腹水あり、HBs抗原陽性が予後不良因子であった。ソラフェニブ治療は、奏効率8.1% (CR 1例、PR 3例、SD 16例、PD 19例)で、MST 207日(PDでは129日)、1年生存率40.8%であった。腫瘍量50%以上、PIVKAII 1000mAU/mL以上が予後不良因子であった。【結論】初回TACE症例において、CR達成は有意な独立予後規定因子であり、CR達成をTACEの短期的治療目標とすべきである。Stage3/4の高度進行肝細胞癌について、奏効の面から遠隔転移のない初回治療例は肝動注化学療法の積極的適応と考えられた。ソラフェニブ治療は高腫瘍量の進行肝癌の制御は困難であることが示唆された。 |
| 索引用語 | 肝細胞癌, 治療 |