セッション情報 一般演題

タイトル 069:

誘因なく出現し破裂した胆嚢仮性動脈瘤の1例

演者 久能 志津香(福岡大学消化器内科)
共同演者 阿南 章(福岡大学消化器内科), 国本 英雄(福岡大学消化器内科), 四本 かおる(福岡大学消化器内科), 岩下 英之(福岡大学消化器内科), 平野 玄竜(福岡大学消化器内科), 櫻井 邦俊(福岡大学消化器内科), 上田 秀一(福岡大学消化器内科), 横山 圭二(福岡大学消化器内科), 森原 大輔(福岡大学消化器内科), 坂本 雅晴(福岡大学消化器内科), 竹山 康章(福岡大学消化器内科), 入江 真(福岡大学消化器内科), 岩田 郁(福岡大学消化器内科), 釈迦堂 敏(福岡大学消化器内科), 早田 哲郎(福岡大学消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学消化器内科)
抄録 症例は73歳の女性。Sheehan症候群による汎下垂体機能低下症、C型肝硬変、慢性腎不全、高血圧にて、定期的な画像検査と内服治療を受けていた。2011年1月、腹水貯留と下肢の浮腫が著明となったため、当科に入院の上、利尿剤の増量などを行っていた。症状が軽快したため、3月17日に近医に転院となったが、翌日に著明な貧血の出現を認めた。上部消化管内視鏡検査で、十二指腸乳頭部からの出血を認めたため、胆道出血と診断され、再度、当科へ転院となった。再入院時、WBC 9,700/μl, Hb 6.4 g/dl, Plt 1.9万/μl, Alb 2.1 g/dl、T.Bil 2.1 mg/dl、AST 46 IU/l、ALT 28 IU/l、LDH 220 IU/l、ALP 139 IU/l、γ-GTP 41 IU/lと高度の貧血と肝・胆道系酵素の上昇を認めた。腹部造影CTでは、胆嚢の腫大と均一な壁肥厚を認めた。胆嚢内部は高吸収域と低吸収域が混在し出血が疑われた。胆嚢内には結石は認めなかった。また、胆嚢内腔に突出する胆嚢動脈の嚢状の拡張部を認めたため、胆嚢仮性動脈瘤の破裂と診断した。緊急止血のために胆嚢動脈に対する塞栓術を施行した。しかし、他臓器不全となり死亡した。胆嚢仮性動脈瘤破裂による胆道出血は、まれな病態であり、胆石胆嚢炎や手術、肝生検、腹部外傷の合併症としての報告が散見される。本症例は定期的な画像検査において、胆嚢やその周囲に異常所見は認めず、入院中であったため細かく観察されていたにも関わらず胆嚢炎を示唆する腹痛や黄疸といった症状もなかった。このような場合、診断は容易ではないが、最近は造影CTの診断能が向上しており、本症例においても有用であった。全く誘因なく突然出現し破裂した胆嚢仮性動脈瘤であり、極めて稀な症例と思われるため報告する。
索引用語 胆嚢仮性動脈瘤, 胆道出血