セッション情報 一般演題

タイトル 098:

繰り返す肝動注療法により胆管狭窄を生じた肝細胞癌の1例

演者 藤富 真吾(長崎市立市民病院)
共同演者 堤 卓也(長崎市立市民病院), 日野 直之(長崎市立市民病院), 赤司 太郎(長崎市立市民病院), 赤星 浩(長崎市立市民病院), 池田 幸紀(長崎市立市民病院), 山川 正規(長崎市立市民病院)
抄録 症例は59歳男性。1988年B型慢性肝炎を指摘され、10年間治療するもその後受診せず、無治療で経過していた。2008年8月30日肝右葉後区域肝細胞癌腹腔内破裂で発症し、前医においてTAEで止血。FeederはA6+7で、状態安定後にTACEを追加された。その後、転居に伴い2009年2月23日当院紹介受診。その際CECTで10mm以下の肝内転移巣が肝両葉に多発していたため、3月 1日に当科第1回目入院、CDDP製剤での全肝TAI(RHA/LHA)を施行した。その後も再発を繰り返し、2010年までに計4回当院でTAIを施行した。2010年4月 8日第5回TAI(全肝)施行後、6月下旬より黄疸自覚。7月7日の受診時にT.Bil 6.4mg/dlと上昇しており入院とした。CTで肝内胆管拡張、MRCPで肝門部胆管狭窄を認めたが、画像上明らかな肝門部massは認めなかった。内視鏡的逆行性胆管造影(ERCP)を施行し、肝門部および連続する肝内胆管の狭窄を確認、総胆管および左右肝管と内側枝の4か所にバルーン拡張術を施行した。術後造影で肝内胆管の良好な描出を確認、血液生化学検査も改善を認めた。しかしその後も閉塞性黄疸を反復し、胆管狭窄・バルーン拡張を繰り返している。TACEに伴う胆管狭窄は稀な合併症であるが、5年間18例での検討での検討も行われている。これらではいずれもA1またはA4からの動注が行なわれ、2~4ヵ月後に同症状が出現していた。今回の症例もA4からの動注を行なっており関連性が考えられたため、若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 肝細胞癌, TACE