セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 081:巨大肝嚢胞に対し、エコーガイド下穿刺による硬化剤注入療法を施行した10例の臨床的検討 |
演者 | 上川 健太郎(済生会熊本病院) |
共同演者 | 今村 治男(済生会熊本病院), 井戸 佑美(済生会熊本病院), 糸島 尚(済生会熊本病院), 杉原 一明(済生会熊本病院), 門野 義弘(済生会熊本病院), 塩屋 公孝(済生会熊本病院), 近澤 秀人(済生会熊本病院), 多田 修治(済生会熊本病院) |
抄録 | 【目的】単純性肝嚢胞に対するエコーガイド下穿刺による硬化剤注入療法の有効性はすでに報告されているが、今回当院にて治療を行った巨大肝嚢胞の10例について、硬化剤の種類、合併症、術後の経過等につき臨床的検討を行った。【対象と方法】対象は2002年から2011年までの10年間に当院にて経験した、臨床的に何らかの症状を有する単純性肝嚢胞で、硬化剤注入後6か月以上の経過観察を行った10例とした。平均年齢は66.4歳で、男女比は1:9と女性に多くみられた。症状は、腹部膨満感、右季肋部痛が多くみられたが、その他両下肢の浮腫や胆道系酵素上昇、門脈圧亢進による脾腫および血小板減少なども認められた。嚢胞の最大径は7cm~20cmで、排液量は120ml~3450mlであった。硬化剤として2004年までの2例は塩酸ミノサイクリンを使用し2005年以降の8例は無水エタノールを使用した。エコーガイド下で経皮経肝的に肝嚢胞を穿刺し、6Fr.ピッグテールカテーテルを挿入後、排液を行ったのちに嚢胞造影を施行し、嚢胞が血管や胆管、腹腔内と交通がないことを確認し、塩酸ミノサイクリン500mg~700mg または無水エタノール45~120mlを注入し、体位変換を行いながら約15分間経過観察後に排液し、生理食塩水にて洗浄後にカテーテルを抜去した。【結果】術中の合併症は軽度の腹痛が3例、一過性血圧低下が2例、急性アルコール中毒と思われる顔面紅潮と意識障害を1例に認めた。嚢胞縮小率はミノマイシンで33~50%、無水エタノールで28~91%であった。いずれの症例も治療後に再増大するものの、6か月~12か月の経過で次第に縮小してゆく傾向が見られた。また全症例において症状の軽快を認めた。【結語】巨大肝嚢胞に対するエコーガイド下穿刺および硬化剤注入療法は、比較的安全に施行でき、症状改善のために有効な手段と考えられた。また、術後6~12か月の期間を経て効果判定を行うことが重要と考えられた。若干の文献的考察も含めて報告する。 |
索引用語 | 巨大肝嚢胞, エタノール |