セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専25:

IgG4陽性を示した原発性硬化性胆管炎(PSC)の1症例

演者 草永 真志(産業医科大学病院 第3内科学)
共同演者 渡邊 龍之(産業医科大学病院 第3内科学), 日浦 政明(産業医科大学病院 第3内科学), 柴田 道彦(産業医科大学病院 第3内科学), 田口 雅史(産業医科大学病院 第3内科学), 原田 大(産業医科大学病院 第3内科学)
抄録 症例は30歳代男性。2011年2月心窩部痛、皮膚掻痒感を主訴に近医受診しCT、MRCPにて肝門部から上部胆管に狭窄を認め、閉塞性黄疸と診断されERBD施行後当科入院となった。当科入院時皮膚及び眼球結膜に黄染を認めT-Bil 9.0mg/dl,LDH 203IU/l,ALP 611IU/l,γ-GT 59IU/l,CEA 1.4ng/ml,CA19-9 29257.0U/ml,ANA <40倍,IgG4 120mg/dl(前医IgG4 164mg/dl)と肝胆道系酵素上昇、腫瘍マーカーの上昇及び前医でのIgG4の上昇を認めた。CTでは肝門部を中心とする胆管狭窄と末梢胆管の著明な拡張を認めたが腫瘤性病変は認めず、また膵腫大も認めなかった。ERCPでは膵管は正常であり、胆管は三管合流部から左右胆管分岐部までの広範囲な狭窄認め、両側末梢肝内胆管の拡張を伴っていた。経乳頭的に胆管狭窄部生検施行したが悪性所見は認めず、IgG4陽性形質細胞も認めなかった。更に十二指腸乳頭及び肝生検も行ったがIgG4陽性形質細胞浸潤を認めなかった。大腸内視鏡検査では炎症性腸疾患も認めなかった。しかしながら、IgG4関連硬化性胆管炎を否定できず診断的治療目的にPSL 40 mg内服を開始した。開始2週間後も血液検査及び画像所見上改善傾向に乏しく、更なる診断のため開腹下肝生検施行した。悪性所見は認めず、リンパ球優位な炎症細胞浸潤を認めたがIgG4陽性形質細胞は認めず、隔壁胆管や小葉間胆管の周囲の線維化(onion skin fibrosis)を認めたため原発性硬化性胆管炎(PSC)と診断した。その後も化膿性胆管炎・肝膿瘍を繰り返したため適宜PTCD及びERBDを複数本留置し退院となった。今回我々は、IGg4陽性の肝門部胆管狭窄を認め、診断に苦慮したPSCの1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 PSC, IgG4