セッション情報 シンポジウム2「慢性肝炎治療の現況」

タイトル S2-03:

ぺグインターフェロン少量隔週投与法は肝硬変、高齢者に対するC型肝炎の維持療法として有用性である

演者 山下 尚毅(新日鐵八幡記念病院 消化器科)
共同演者 大穂 有恒(新日鐵八幡記念病院 消化器科), 梶原 英二(新日鐵八幡記念病院 消化器科)
抄録 はじめに:最近ぺグインターフェロン(PEG-IFN)・リバビリン併用治療が無効のC型肝硬変に対するPEG-IFNα2a 90μg毎週投与法が肝発癌抑止に効果があると報告された。今回我々はC型肝炎の難治例である高齢者および肝硬変例に対しPEG-IFNα2a 90μg隔週投与法を施行し、肝機能検査値の顕著な改善を認めたので報告する。目的:PEG-IFNα2a 90μg隔週投与法の血清ALT値とAFP値に対する効果を検討した。対象と方法:対象はC型肝炎のうち肝硬変または65歳以上の高齢者55例。全例genotype1b。年齢の中央値70歳、肝硬変は73%。全例治療開始前のALT値は30 IU/L以上。ペグインターフェロンα2a90μg隔週投与法のALT値とAFP値に対する効果をインターフェロン初回治療群23例、インターフェロン・リバビリンまたはペグインターフェロン・リバビリン併用治療後に再燃した群23例、無効群9例の3群に分別。次に治療24週間までのHCVRNA低下の程度を2 Log以上、1-2 Log、1 Log未満に分別し、ALTとAFPの変化との関係を検討。さらに24週でのALT 30 IU/L以下に寄与する要因を検討した。結果:ALT値およびAFP値は無効群を含めて各群で有意に低下した。さらにALT値はHCVRNA低下1Log未満群を含めて各群で有意に低下した。AFP値はHCVRNA 1Log未満群およびALT非正常化群においても有意に低下した。24週でのALT 30 IU/L以下は再燃群で74%(17/23)、HCVRNA 2 Log以上低下群で68%(23/34)と他群に比較して有意に高率であった。次いでプロトロンビン時間80%未満12例およびアルブミン値3.5 g/dl以下12例においてプロトロンビン時間およびアルブミン値はそれぞれ有意に改善した。副作用による24週以内の中止例はなく48週以内の中止は3例のみで、全経過で70%以上の症例で自覚症状はみられなかった。結語:PEG‐IFNα2a90μg隔週少量投与法は副作用が少なく、PEG-IFN/RBV併用療法無効例を含めてALT値およびAFP値を改善し、肝硬変や高齢者での肝病変進展および発癌予防に有用な治療法であることが示唆される。
索引用語 C型肝炎, 隔週投与法