セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専12:肝細胞癌が完全な自然壊死を来した1例 |
演者 | 羽根田 賢一(豊見城中央病院消化器内科) |
共同演者 | 玻座間 博明(豊見城中央病院消化器内科), 石原 祐史(豊見城中央病院消化器内科), 大城 拓巳(豊見城中央病院消化器内科), 與儀 竜治(豊見城中央病院消化器内科), 真喜志 知子(豊見城中央病院消化器内科), 峯松 秀樹(豊見城中央病院消化器内科), 加藤 功大(豊見城中央病院消化器内科) |
抄録 | 【緒言】肝細胞癌は栄養血管が肝動脈に依存しているため比較的壊死を起こしやすい腫瘍である。しかし腹部血管造影や治療を行わなかったにも関らず、腫瘍が自然壊死を来たし治癒したという報告は少ない。今回肝細胞癌が完全に自然壊死を来たした症例を経験したので報告する。【症例】高血圧で近医通院中の70歳男性。同院での腹部エコーにて肝臓S8において4cm大の腫瘤性病変を認め、当院消化器内科紹介。腹部造影CTにて早期濃染、その後wash outを認め、遅延相で周囲肝実質に比して低吸収、周囲に被膜様構造を認めた。またPIVKA-II1130mAU/ml、AFP 972ng/mlと高値を示したため肝細胞癌と考えS8肝亜区域切除術を行った。切除した腫瘍は周囲と境界明瞭で線維性の被膜を有し、その内部は黄褐色の壊死物質が認め、組織学的所見では索状に配列するhepatocellular carcinomaの像を呈していたが、carcinomaは完全壊死に陥っていた。術後経過は良好で入院14日目に退院。術後腫瘍マーカーも正常化した。しかし、術後半年で肝細胞癌再発を来たしたため、ラジオ波焼却療法を行い現在通院中である。【考察】いままでにも術前無治療で肝細胞癌の完全壊死を来した症例は報告されている。特徴としては腫瘍が5cm以下の比較的小さい腫瘍であること、被膜を形成するタイプの腫瘍であること、腹部血管造影で乏血性所見を認めることが上げられている。その他食道静脈瘤破裂などの大量出血により循環不全を起こしたり、腹部血管造影時の動脈内膜損傷などが誘因とされている。今回、特別な誘因無く肝細胞癌の自然壊死を来した比較的希な症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 肝細胞癌, 自然壊死 |