セッション情報 | ワークショップ6「難治性肝胆膵疾患に対する治療」 |
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タイトル | WS6-18:治療に難渋する肝細胞癌の治療戦略 - 血小板減少症に対する摘脾の有用性 - |
演者 | 釘山 統太(国立病院機構 長崎医療センター 外科) |
共同演者 | 蒲原 行雄(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 渡邊 健人(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 町野 隆介(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 朝長 哲生(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 野中 隆(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 徳永 隆幸(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 遠山 啓亮(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 前田 茂人(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 永田 康浩(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 田川 努(国立病院機構 長崎医療センター 外科), 阿比留 正剛(国立病院機構 長崎医療センター 肝臓内科), 小森 敦正(国立病院機構 長崎医療センター 肝臓内科), 八橋 弘(国立病院機構 長崎医療センター 肝臓内科), 石橋 大海(国立病院機構 長崎医療センター 肝臓内科), 藤岡 ひかる(国立病院機構 長崎医療センター 外科) |
抄録 | 背景)血小板減少症合併肝細胞癌(HCC)は治療に難渋する。これは、血小板値減少により治療法の選択範囲が狭められることが大きな要因である。我々は、このような症例に対し積極的に摘脾を行い、各種のHCC治療を施行してきた。今回、血小板減少症合併HCC症例に対する脾摘の有用性を検討した。対象と方法)2005年より2010年までに血小板値50x103mm3,以下で摘脾を施行したHCC 20例(男性14、女性6、年齢61±9歳)を対象に手術因子(術式、出血量)、脾重量、摘脾後肝予備能、血小板値の推移、合併症、HCC治療法とその結果につき検討した。結果)15例を腹腔鏡用手補助下(HALS)、5例を開腹で脾摘を施行し、摘出脾重量は626±396g、出血量は288±238gであった。血小板値は術後1か月で有意に改善し(38±10 → 193±61 x103mm3, p<0.001)、蛋白合成能(血清アルブミン、プロトロンビン活性)は悪化を認めなかった。合併症として門脈本幹血栓2例を認め、1例は集中治療を要したが軽快・生存中である。HCCの治療法は、切除15例(摘脾と同時10例、二期的5例)、RFAやTACE 5例であった。対象症例の全生存率は1年/3年/5年で89%/80%/66%と日本肝癌研究会調査報告のHCC全生存率と同等である。血小板値は摘脾後1年/3年で中央値170/161(x103mm3)と維持されており、脾摘後3年以上にわたり非血小板低値例と同等の治療が可能であった。結論)血小板減少を伴うHCC症例に対する摘脾は、安全に施行可能で治療に難渋する症例の治療選択肢を拡大する。 |
索引用語 | 脾摘出, 血小板減少 |