セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研12:

肝細胞腺腫の3切除例

演者 稲富 享子(熊本大学消化器外科)
共同演者 近本 亮(熊本大学消化器外科), 清住 雄希(熊本大学消化器外科), 甲斐田 剛圭(熊本大学消化器外科), 新田 英利(熊本大学消化器外科), 今井 克憲(熊本大学消化器外科), 生田 義明(熊本大学消化器外科), 土居 浩一(熊本大学消化器外科), 石河 隆敏(熊本大学消化器外科), 高森 啓史(熊本大学消化器外科), 別府 透(熊本大学消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大学消化器外科)
抄録 【はじめに】肝細胞腺腫(Hepatocellular adenoma,以下HA)は肝細胞由来の比較的稀な腫瘍である。画像上、肝細胞癌や限局性結節性過形成(Focal nodular hyperplasia,以下FNH)との鑑別を要する疾患にも挙げられ、時に鑑別困難な症例が存在する。今回当科で肝切除を施行したHAを3例経験したので、文献的考察を加えて報告する。【症例1】41歳、男性。腹部CTにて径10cm大の腫瘍を認めた。造影CTで動脈相の淡い造影効果を認め、肝細胞癌も否定できず、拡大右葉切除を施行した。【症例2】27歳、女性。家族性大腸腺種症に対する治療目的に当科入院、精査中に径8cm大の肝腫瘍を指摘された。子宮内膜癌の既往があり、術後のホルモン療法としてプロゲステロン製剤の内服歴があった。画像上HAやFNHを疑ったが、肝細胞癌も否定できず、腹腔鏡下肝部分切除を施行した。【症例3】27歳、女性。子宮頸癌の術後経過観察中に径2.5cm大の肝腫瘍を指摘された。経口避妊薬の服用歴がありHAも考えられたが、PETで異常集積を認め悪性腫瘍を否定出来なかったため、腹腔鏡下肝部分切除を施行した。以上の症例は全例術後病理組織学的検査にてHAと診断され、いずれも悪性を示唆する所見は認めなかった。【まとめ】HAは画像診断上、肝細胞癌やFNH等の他疾患との鑑別が困難であることが多い。今回の3症例も画像上、造影CT動脈相で造影効果を認める例が1例、EOB-MRI動脈相で淡い造影効果を認める例が1例、PETで異常集積を認める例が1例と多彩な所見を呈していた。また、HAは経口避妊薬やステロイド製剤の内服歴を持つ女性や糖原病(type Ia)に併発することが多いと言われているが、1例はリスクを有していなかった。HAは良性腫瘍であるが診断が困難で、確診が得られたとしても悪性転化や出血の可能性があるため、積極的な切除が必要であると考えられる。
索引用語 肝細胞腺腫, 肝切除