セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研08:

原発性胆汁性肝硬変に合併した肝MALTリンパ腫の1例

演者 福田 紘介(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科)
共同演者 竹下 茂之(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科), 町田 治久(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科), 重野 賢也(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科), 加治屋 雄二(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科), 鶴田 正太郎(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科)
抄録 症例は82歳女性。1986年に原発性胆汁性肝硬変と診断され、以後近医でウルソデオキシコール酸にて加療されていた。2011年6月に腹部エコー検査にて、肝両葉に複数の低エコー腫瘤を指摘され、当科を紹介受診した。腹部MRI検査では、分葉状のT1WI低信号、T2WI高信号域の肝腫瘍を肝左葉外側区域に2cm大、右葉後区域に2.5×1.5cm、6.3×3.3cm、4.5×6cm大の合計4個認めた。EOB造影MRIでは、早期動脈相で辺縁部に淡い濃染があり、腫瘤内には脈管の貫通を認めた。また、肝門部から肝十二指腸間膜部、傍大動脈領域、右横隔膜近傍の前縦隔にリンパ節腫大を認めた。腹部造影CTでは、肝内にS7、S6を中心にmass effectの乏しい低吸収域が見られ、MRI検査と同様の造影所見であった。FDG-PET/CTでは、既知の肝腫瘍、リンパ節腫大に一致して強い集積が認められた。以上の画像所見より悪性リンパ腫を第一に疑い、肝腫瘍の針生検を施行した。生検組織では、グリソン鞘を中心に小型~中型のBリンパ球の浸潤が見られ、一部は小結節性に増生していた。また、胆管内に浸潤しLymphoepithelial lesionを形成していた。免疫染色では、CD20(+)、CD79a(+)、CD3(-)、CD5(-)、CD10(-)、CD23(-)、cyclic D1(-)の結果で、Mucosa-associated lymphoid tissue Lymphoma(以下、MALTリンパ腫)と診断し、1コース目の化学療法としてRituximab療法を施行した。
肝MALTリンパ腫は稀な疾患であり、我々は原発性胆汁性肝硬変に合併した1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝MALTリンパ腫, 原発性胆汁性肝硬変