セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専93:

回腸憩室炎穿通による腸間膜膿瘍の一例

演者 中野 みち子(宮崎大学医学部循環体液制御学)
共同演者 三宮 一朗(宮崎大学医学部循環体液制御学), 片山 陽平(宮崎大学医学部循環体液制御学), 三木 吾郎(宮崎大学医学部循環体液制御学), 彦坂 ともみ(宮崎大学医学部循環体液制御学), 星子 新理(宮崎大学医学部循環体液制御学), 松本 英丈(宮崎大学医学部循環体液制御学), 中島 孝治(宮崎大学医学部循環体液制御学), 芦塚 伸也(宮崎大学医学部循環体液制御学), 稲津 東彦(宮崎大学医学部循環体液制御学), 北村 和雄(宮崎大学医学部循環体液制御学), 内山 周一郎(宮崎大学医学部腫瘍機能制御外科学), 佛坂 正幸(宮崎大学医学部腫瘍機能制御外科学), 千々岩 一男(宮崎大学医学部腫瘍機能制御外科学), 佐藤 勇一郎(宮崎大学医学部構造機能病態学), 丸塚 浩助(宮崎大学医学部構造機能病態学), 浅田 祐士郎(宮崎大学医学部構造機能病態学)
抄録 症例は79歳女性。2010年8月末頃より腹痛が出現し、前医にて腹部CTでの骨盤底部回腸の全周性壁肥厚と壁内膿瘍を指摘され、小腸炎と診断された。絶食・抗生剤投与にて症状は一時改善するものの、食事開始後に再燃するため、精査加療目的に当科転院となった。絶食・抗生剤投与にて加療継続したが、軽快と再燃を繰り返し、経過中に腹部CTにて直腸からS状結腸まで炎症の波及を認めるようになった。小腸ダブルバルーン内視鏡検査で回腸末端に潰瘍性病変を認めるものの、生検では非特異的炎症を示すのみであり、確定診断には至らなかった。当科入院2か月目に再度小腸造影検査を施行したところ、中部回腸に多発する狭窄と変形を認め、同時に腸管外へのバリウム溢流を認めた。病変近傍の回腸には憩室様変形を認め、腸間膜内膿瘍を伴った回腸憩室炎穿通と診断した。2011年1月、当院第一外科にて回腸部分切除術を施行された。Treiz靭帯より280-300cmの回腸が骨盤内に強固に癒着しており、回腸と直腸との間には膿瘍を形成していた。病理学的にも、肥厚した小腸壁内に多発憩室炎を認め、一部では腸間膜膿瘍を伴っていた。直腸・S状結腸における壁肥厚は、同病変からの炎症が波及したものと考えられた。回腸憩室炎穿通による腸間膜膿瘍形成は稀な疾患であり、臨床症状が比較的慢性の経過をたどるため、診断・治療に難渋する事も多い。疾患に対する認識が必要と考えられ、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 回腸憩室炎穿通, 腸間膜膿瘍