セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専74:急速に発育増殖した大腸癌の1例 |
演者 | 中山 景一郎(福岡和白病院 内科) |
共同演者 | 丸山 祐二(福岡和白病院 内科), 蒲池 良平(福岡和白病院 内科), 濱田 麻穂(福岡和白病院 内科), 有村 英一郎(誠十字病院 内科), 東 喬太(福岡和白病院 内科), 廣重 嘉一郎(福岡和白病院 内科), 山本 明(福岡和白病院 外科) |
抄録 | 【症例】76歳女性。平成19年12月より発作性心房細動で当院循環器科通院中であった。平成20年1月に検診で便潜血陽性を指摘され、下部消化管内視鏡検査(total colonoscopy 以下TCS)を実施し、S状結腸に6mm大の亜有茎性ポリープを認め内視鏡的切除を勧めたが、本人の希望にて1年後follow upとなった。follow upは不整脈に対するカテーテルアブレーションのため実施出来ていなかった。平成23年3月にTCSを行ったところ、10mm大の緊満感のある隆起型腫瘍に発育していた(未生検)。再度治療を勧めたが、不整脈治療のため内服していたワーファリンを中断することに本人が抵抗感を感じ同意が得られなかった。その後、同年5月に治療に同意されたため再度TCSを行ったところ20mm大の平皿状で中心陥凹様の2a型腫瘍に発育増殖していた。超音波内視鏡では粘膜筋板浸潤を認めた。逆行性注腸造影検査ではS状結腸腫瘍部に側面壁硬化像を呈しており内視鏡治療は困難と診断した。2.5ヶ月の短期間に進展増殖していたが、他臓器に明らかな転移は認められず、外科的切除術の適応とし、平成23年5月にS状結腸切除術およびリンパ節D2郭清を施行した。病理学的所見では固有筋層に達する高分化管状腺癌(tub1>2,INFb)で、腫瘍内に脈管浸潤及びリンパ節転移を認め、最終病期診断はstage 3Aであった。平成23年8月現在、UFTによる術後補助化学療法を行っている。 【考察】大腸癌の発育進展においては時間の経過に伴い増大・浸潤を示すものが少なからず存在し、早期癌までは緩やかに発育し、粘膜下層深部浸潤後に急速に発育増殖していく。無茎性病変は有茎性病変に比べ増大・浸潤速度が速く、粘膜下層浸潤が疑われる腫瘍では進行癌と同等の腫瘍倍加時間を示すとの報告があり、早急な治療が必要であると考えられる。今回我々は下部消化管内視鏡検査で、亜有茎性ポリープを認め、38ヵ月後に隆起型腫瘍に発育進展し、更に2.5ヶ月後という短期間に進行大腸癌に発育した1例を経験したため若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 大腸癌, 発育増殖 |