セッション情報 一般演題

タイトル 105:

カプセル内視鏡、ダブルバルーン内視鏡を用いて診断した小腸悪性リンパ腫の1例

演者 井手上 純子(熊本労災病院 消化器内科)
共同演者 成田 礼(熊本労災病院 消化器内科), 千代永 卓(熊本労災病院 消化器内科), 瀬戸山 博子(熊本労災病院 消化器内科), 吉松 眞一(熊本労災病院 消化器内科), 佐々木 雅人(熊本労災病院 消化器内科), 伊藤 清隆(熊本労災病院 内科), 赤星 慎一(熊本労災病院 外科), 栗脇 一三(熊本労災病院 病理)
抄録 症例は86歳女性。平成23年2月腹痛を自覚し近医を受診。精査・加療目的にて当院紹介となった。CTにて小腸の全周性壁肥厚とそれより口側腸管の拡張を認め、腫瘍もしくは癒着によるイレウスと診断した。原因精査の為に造影CT、小腸透視、カプセル内視鏡、ダブルバルーン小腸内視鏡を行った。造影CTにて小腸壁肥厚部は造影早期から強く均一に増強された。小腸透視では空腸に限局した狭窄を認めたが造影剤の通過は良好であった。カプセル内視鏡、ダブルバルーン小腸内視鏡では空腸に輪状潰瘍を伴う狭窄を認め、狭窄部のファイバー通過は困難であった。内視鏡下にてガストログラフィンを注入したところガストログラフィンの通過は良好で狭窄部は約3cmであった。狭窄部より生検を行い悪性リンパ腫と診断した。腫瘍マーカーはsIL2-R 2045U/ml(>496)で、CEA 1.5ng/ml(<5.0)、CA19-9 2.2U/ml(<37)と基準値内であった。悪性リンパ腫の診断にて当院外科にて小腸狭窄部切除術を施行した。小腸長は550cmで、Treiz靭帯より300cmに壁肥厚を伴う白色調の6cmの腫瘤を認め内腔は狭窄化していた。病理の結果malignant lymphoma,follicular lymphoma(circ,type2,7×5cm)であり、リンパ節の一部にリンパ腫細胞の浸潤を認めた。病変のリンパ腫細胞の浸潤は全層性で漿膜表層に達していたが、口側および肛門側断端は陰性であった。術後、sIL2-R 748U/mlと低下しており、CT、MRI、PET-CTを追加し局所残存の可能性は低いと考えた。骨髄穿刺では明らかな浸潤を認めずStage1Eと診断し血液内科にて抗癌剤治療を行った。今回我々は、小腸内視鏡検査にて診断した小腸悪性リンパ腫の1例を経験したので、若干の文献学的考察を加え報告する。
索引用語 ダブルバルーン小腸内視鏡, カプセル内視鏡