セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研32:

診断に苦慮した膵癌の一例

演者 柳井 優香(大分大学医学部付属病院)
共同演者
抄録 大分赤十字病院消化器内科○柳井 優香、永松 秀康、占部 正喜、高橋 健、上尾 哲也、成田 竜一、石田 哲也症例は56歳女性、2011年5月初旬より白色の下痢を認めたため近医を受診し、血液生化学検査上、肝胆道系酵素、総ビリルビンの上昇を認めたため精査目的で当院を紹介となった。US上膵頭部付近に20mm径の低エコー腫瘤を認め、総胆管15mm、尾側膵管は3.1mmと拡張を認めた。腹部CTでは膵頭部に明らかな腫瘤は指摘されず、膵鉤部に26×19mm大の周囲膵実質と比較して経度低吸収を呈し、遷延性の造影効果を有する結節構造が認められたが、膵癌としては非特異的なパターンであった。EUSでは膵頭部に内部に石灰化を伴う胆管に連続する腫瘤を認め、膵実質の不均一エコーと門脈の圧排像を認めた。MRCPでは明らかな膵頭部の腫瘤は認めなかったが、高度胆管狭窄を認めた。Balloon ERPでは主膵管頭部で走行変異を伴う高度狭窄像、近傍の分枝にも造影不整を認め、進行膵癌を疑う所見であった。腹部造影CTでは膵癌と確定診断できなかったが、EUS、MRCP、Balloon ERPでは膵癌に特徴的な所見を認めた。腹部造影CT上は胆管浸潤以外に多臓器、動脈、門脈浸潤を疑う所見は認めなかったため、以上の所見より術前診断T3N0M0のStage3と診断し、手術した。膵腫瘍は術前に確定診断が困難な病態であるので、種々の検査を効率的に組み合わせることにより総合的に診断することが必要と思われた。
索引用語 膵癌, 膵癌画像診断