セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専04:肝腺腫を合併した家族性大腸腺腫症の一例 |
演者 | 徳永 尭之(熊本大学大学院 消化器内科学) |
共同演者 | 奥田 彩子(熊本大学大学院 消化器内科学), 立山 雅邦(熊本大学大学院 消化器内科学), 鴻江 勇和(熊本大学大学院 消化器内科学), 野中 康一(熊本大学大学院 消化器内科学), 加来 英典(熊本大学大学院 消化器内科学), 尾崎 徹(熊本大学大学院 消化器内科学), 直江 秀昭(熊本大学大学院 消化器内科学), 横峰 和典(熊本大学大学院 消化器内科学), 桜井 宏一(熊本大学大学院 消化器内科学), 井田 智(熊本大学大学院 消化器外科学), 宮本 裕士(熊本大学大学院 消化器外科学), 渡邊 雅之(熊本大学大学院 消化器外科学), 馬場 秀夫(熊本大学大学院 消化器外科学), 佐々木 裕(熊本大学大学院 消化器内科学) |
抄録 | 症例は27歳女性。血便を契機に施行した大腸内視鏡検査で全大腸に多発するポリープを指摘され、精査加療目的で当科入院となった。FAPの家族歴はない。精査の過程で腹部エコーにて、肝右葉下縁に腹腔内に突出するような80mm大の腹腔内腫瘤性病変を認めた。境界明瞭でエコーレベルは肝と同等、内部エコーはほぼ均一だが嚢胞変性と思われる無エコー領域の散在を認めた。Dopplerで肝臓から腫瘤に流入する動脈を認めた。造影エコーでは、Vascular相で弱くenhanceし、Kupffer相でdefectは正常肝と変わらなかった。車軸様血管は認めなかった。単純CTでは腫瘤は肝よりわずかに低吸収であった。MRIで腫瘤はT1WI・T2WIで正常肝とほぼ等信号、DWIで淡い信号、平均ADC値は正常肝とほぼ同等で薄い被膜構造を認めた。造影MRIでは早期より淡く濃染し増強効果は持続した。肝細胞相で腫瘤内にEOB取り込みを認めた。以上から腹腔内腫瘤は肝由来であることが推測され、鑑別として肝細胞癌、肝細胞腺腫、限局性結節性過形成があげられた。経口避妊薬服用歴はなかった。AFP 2.5ng/mL、PIVKA-II 34mAU/mLと腫瘍マーカー上昇は認めなかったが、画像から悪性腫瘍の可能性が否定できなかったため、一期的に大腸全摘術・回腸嚢肛門管吻合術・肝部分切除術を施行した。術後経過は良好で術後第21病日に退院となった。病理診断では大腸病変の一つに癌を認め、その他は腺腫であった。腹腔内腫瘤は繊維性被膜を伴い、N/Cの低い肝細胞性の腫瘍細胞が結節性に増殖しており肝腺腫と診断された。腫瘍の一部には出血と融解壊死巣が混在していた。家族性大腸腺腫症は消化管、特に大腸に腺腫性ポリープが多発し生涯を通じてほぼ全例に大腸癌を生じる常染色体優性遺伝性疾患である。FAPは種々の腸管外病変を合併することが知られているが、肝腺腫を合併した報告は数例しかない。 今回我々はその一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 肝腺腫 , 家族性大腸腺腫症 |