セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専65:小腸静脈瘤破裂に対し、経皮的静脈塞栓術が奏功した1例 |
演者 | 竹口 真隆(熊本大学大学院 消化器内科学) |
共同演者 | 鴻江 勇和(熊本大学大学院 消化器内科学), 徳永 尭之(熊本大学大学院 消化器内科学), 奥田 彩子(熊本大学大学院 消化器内科学), 野中 康一(熊本大学大学院 消化器内科学), 加来 英典(熊本大学大学院 消化器内科学), 尾崎 徹(熊本大学大学院 消化器内科学), 直江 秀昭(熊本大学大学院 消化器内科学), 横峰 和典(熊本大学大学院 消化器内科学), 桜井 宏一(熊本大学大学院 消化器内科学), 生田 義明(熊本大学大学院 消化器外科学), 高森 啓史(熊本大学大学院 消化器外科学), 山下 康行(熊本大学大学院 放射線診断学), 馬場 秀夫(熊本大学大学院 消化器外科学), 佐々木 裕(熊本大学大学院 消化器内科学) |
抄録 | 症例は50歳代男性。主訴は血便。B型肝硬変で当科外来加療中であり、肝細胞癌に対しTACE、RFA、胃食道静脈瘤に対し、食道離断術、BRTOの既往がある。平成22年12月に貧血・タール便を認め、上下部消化管内視鏡検査施行されたが、明らかな出血源は同定できなかった。平成23年6月、血便と意識消失を認め、救急車で当院搬送後、緊急入院となった。血液検査でHb:4.0g/dl と貧血を認めたため、当日上部消化管内視鏡検査を施行したが、出血源は同定できなかった。入院2日目に大量の血便を認めたため、緊急下部消化管内視鏡検査を施行したところ、バウヒン弁より口側まで血液が付着しており、小腸からの出血が疑われた。腹部造影CT検査で腹壁静脈から小腸へ連続した静脈瘤を認め、出血シンチグラフィーでは腸管内へ突出した小腸静脈瘤およびその肛門側腔内に集積が亢進していたことから、肝硬変に伴う静脈瘤およびその破綻が疑われた。同日緊急血管造影検査を行い、上腸間膜静脈から小腸静脈瘤が連続して描出され、出血源と同定した。外科的に拡張した腹壁静脈を露出後、NBCA(n-butyl-2-cianoacrylate)を用いて経皮的静脈瘤塞栓術を施行し、造影CT検査で供血路から同静脈瘤まで造影がないことを確認した。術後は経過良好であり、血便、貧血の進行を認めず、第17病日に退院となった。門脈圧亢進症を伴う基礎疾患の既往があり、黒色便や下血を認めるが上下部消化管内視鏡検査にて出血源が同定できない場合は異所性静脈瘤による出血を念頭に置かねばならない。静脈瘤の多くは胃・食道に形成されるが、異所性静脈瘤のうち約6%は小腸静脈瘤とされている。診断としては、造影CTによる静脈瘤の確認や出血シンチによる出血部位の同定が有用である。また、小腸静脈瘤の治療としては外科的切除を選択される場合が多いとされているが、IVR等の治療で奏効した報告もあり、選択枝は多岐にわたる。 今回われわれは、B型肝硬変に合併した小腸静脈瘤破裂に対し経皮的静脈塞栓術が奏功した1例を経験したので、若干の文献的考察をふまえて報告する。 |
索引用語 | 小腸静脈瘤, 消化管出血 |