セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専47:

急性膵炎を契機に発見された肝門部胆管癌を併発した膵・胆管合流異常症の1例

演者 高岡 雄大(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター)
共同演者 河邉 顕(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 藤山 隆(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 中村 吏(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 山崎 章裕(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 国府島 庸之(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 吉本 剛志(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 福嶋 伸良(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 森 大介(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 柿ヶ尾 佳奈(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 岡本 梨沙(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 福田 慎一郎(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 原口 和大(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 水谷 孝弘(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 福泉 公仁隆(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 原田 直彦(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 中牟田 誠(国立病院機構 九州医療センター 消化器内科・臨床研究センター), 中村 雅史(九州大学大学院 医学研究院 臨床腫瘍外科), 田中 雅夫(九州大学大学院 医学研究院 臨床腫瘍外科)
抄録 膵・胆管合流異常症は、解剖学的に胆管と膵管が十二指腸壁外で合流するものと定義され、胆汁と膵液の混入および逆流を生じ、その結果、胆道および膵臓に病変を生じる先天異常である。今回、我々は急性膵炎を契機に発見された肝門部胆管癌合併の膵・胆管合流異常症の一例を経験したので報告する。症例は64歳女性。既往歴に特記事項なく、飲酒歴も認めなかった。2010年8月心窩部痛を主訴に近医受診した。血液検査、画像検査にて急性胆嚢炎、急性膵炎を疑われ近医入院加療となった。保存的治療が行われるも症状軽快しないため、発症5病日目、当院転院となった。腹部造影CTにて膵は腫大し、膵周囲から腎下極以遠まで炎症の波及、液体貯留を認めた。急性膵炎、膵仮性嚢胞と診断した。血液検査にて炎症反応が高度上昇していたため、膵仮性嚢胞への感染が疑われた。絶食、大量補液、蛋白分解酵素阻害薬、抗生物質を開始した後、症状、炎症反応の改善を認めた。ERCPでは、約15mmの長い共通管を有する膵・胆管合流異常を認めた。胆汁中のアミラーゼは53327IU/lと高値であった。急性膵炎の原因として、膵・胆管合流異常症が考えられた。保存的治療のみで急性膵炎、膵仮性嚢胞は軽快したが、経過の腹部造影CTにて右肝内胆管拡張の出現を認めた。再度施行したERCPにて右肝門部胆管の高度狭窄との左右肝管分岐部から総胆管全域にかけて壁の不整・硬化像を認めた。狭窄部の胆管生検から腺癌を認め肝門部胆管癌と診断した。肝右3区域、尾状葉切除、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。術後化学療法としてgemcitabineを投与しているが、明らかな転移・再発は認めていない。膵・胆管合流異常症は、成人例で約9%に急性膵炎を発症するとの報告もあり、急性膵炎の原因疾患として鑑別を必要とする。さらに、膵・胆管合流異常症は、胆道癌を高率に発症するため、胆道系の十分な検索が必要である。
索引用語 膵・胆管合流異常症, 急性膵炎