セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専92:

潰瘍性大腸炎との鑑別を要した宿便性潰瘍の1例

演者 村田 慎一(春回会 井上病院消化器内科)
共同演者 陳 俊全(春回会 井上病院消化器内科), 今村 祥子(春回会 井上病院消化器内科), 三嶋 亮介(春回会 井上病院消化器内科), 柳 謙二(春回会 井上病院消化器内科), 井上 健一郎(春回会 井上病院消化器内科), 牧山 和也(春回会 井上病院消化器内科), 中島 正洋(長崎大学腫瘍・診断病理学研究分野)
抄録 症例は65歳男性【主訴】下痢としぶり腹【既往歴】63歳時に腹腔鏡補助下S状結腸切除・端々吻合術施行【現病歴】来院2か月前から下痢症状あり。下痢の量は少量で、回数は1日に50回程度まで増加し近医受診した。下部消化管内視鏡検査で直腸に粘膜発赤と潰瘍性病変を認めたため潰瘍性大腸炎が疑われ5-ASA製剤内服が開始されるも症状改善に乏しいため精査加療目的に当院紹介受診となる。下部消化管内視鏡検査施行したところ直腸~S状結腸にかけて粘膜の発赤隆起が多発、また一部潰瘍を伴う陥凹性異常があり粘液を伴っていた。大腸粘膜生検では非特異的な炎症細胞浸潤が主体で、一部虚血性変化を伴う部分がみられた。また、腹部CTでは直腸の壁肥厚、周囲の脂肪組織濃度上昇、リンパ節腫脹に加え大腸に多量の残便を認めた。以上から炎症性腸疾患に加え鑑別としては残便による宿便性潰瘍の可能性を考え抗菌薬と腸管運動改善薬投与行い、経過観察を行った結果、徐々に普通便が混じるようになり症状の改善を認めた。6か月後の内視鏡検査では潰瘍性病変は消失し、炎症性粘膜の著明な改善を認め宿便性潰瘍と診断した。今回、排便改善に伴って軽快した潰瘍性病変について、文献的考察を踏まえて検討したので報告する。
索引用語 直腸潰瘍, 宿便