セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専18:

腹痛を契機に診断しえた急性間欠性ポルフィリン症の一例

演者 小松 直広(健康保険諫早総合病院 消化器内科)
共同演者 梅田 雅孝(健康保険諫早総合病院 内科), 三根 祥一郎(健康保険諫早総合病院 消化器内科), 中島 悠史郎(健康保険諫早総合病院 消化器内科), 長岡 篤志(健康保険諫早総合病院 神経内科), 西浦 義博(健康保険諫早総合病院 神経内科), 長郷 国彦(健康保険諫早総合病院 神経内科), 大場 一生(健康保険諫早総合病院 消化器内科)
抄録 症例は32歳女性。約3ヵ月前に数日間持続する上腹部痛を認めたが、その後自然に改善した。今回1週間ほど前から同様の上腹部痛が出現し、症状増悪してきたため、当院救急外来受診。H2-ブロッカー・制吐剤・鎮痙薬投与で症状は軽快し、一旦帰宅した。しかし翌日上腹部痛が再燃したため再受診し、同日入院となった。入院後、上下部消化管内視鏡検査・腹部CT・腹部造影CT施行したが、明らかな異常は指摘されなかった。第3病日に突然視力障害が出現。眼科受診し、視神経炎が疑われたため、頭部MRI施行したところ、後頭葉にFLAIRで高信号域を認めた。同日中に視力は完全に回復。第9病日に再度頭部MRI施行したところ、後頭葉病変は縮小傾向であったが、左頭頂葉に新たな高信号域が出現した。さらにMRAで両側中大脳動脈を主体とした血管不整も認めた。その後も腹痛は持続し、原因は不明であったが、尿検査にてδ-アミノレブリン酸、ポルフォビリノーゲンが著増していたため、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)の診断に至った。AIPの治療として、10%ブドウ糖液輸液、シメチジン内服を開始した。その後腹痛は著名に改善し、頭部MRIでも高信号域や血管不整は軽減した。AIPはヘム合成酵素の一つであるporphobilinogen-deaminase(PBG-D)の遺伝的異常のある人にストレス・薬剤など何らかの誘因によって引き起こされる代謝性疾患の一つである。消化器症状、神経症状、循環器症状、内分泌・代謝異常など多彩な症状を呈し、診断に至るまで苦慮するケースが多いが、原因不明の腹痛に遭遇した場合、AIPも鑑別に挙げる必要がある。今回我々は腹痛を契機に診断しえたAIPの一例を経験したので、若干の文献的考察を加え、報告する。
索引用語 急性間欠性ポルフィリン症, porphobilinogen-deaminase