セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研77:

イマチニブによる薬剤性間質性肺炎を併発した胃原発Gastrointestinal stromal tumorの治療経験

演者 島 智秋(国立病院機構長崎医療センター 外科)
共同演者 永田 康浩(国立病院機構長崎医療センター 外科), 釘山 統太(国立病院機構長崎医療センター 外科), 渡邊 健人(国立病院機構長崎医療センター 外科), 町野 隆介(国立病院機構長崎医療センター 外科), 朝長 哲生(国立病院機構長崎医療センター 外科), 野中 隆(国立病院機構長崎医療センター 外科), 徳永 隆幸(国立病院機構長崎医療センター 外科), 遠山 啓亮(国立病院機構長崎医療センター 外科), 蒲原 行雄(国立病院機構長崎医療センター 外科), 前田 茂人(国立病院機構長崎医療センター 外科), 田川 努(国立病院機構長崎医療センター 外科), 伊東 正博(国立病院機構長崎医療センター 外科), 藤岡 ひかる(国立病院機構長崎医療センター 外科)
抄録 【はじめに】切除不能Gastrointestinal stromal tumor(以下GIST)に対してはイマチニブによる分子標的薬物療法が行われるが、副作用のため投与継続が困難な場合もある。特に間質性肺炎は重篤化すれば致命的であり原疾患と併せて治療に難渋する。【症例】40歳代、女性。胃原発巨大GISTおよび多発肝転移のため、イマチニブによる治療を開始した。イマチニブ400mg/日投与で2ヶ月後のCTで原発巣の縮小を認めたが、顔面浮腫が増強したため投与を中止した。その後、発熱、咳漱が出現、胸部単純X線で両下肺野に索状影を認め、薬剤性間質性肺炎と診断された。直ちにステロイド治療を開始し、臨床症状は改善したが、X線像および呼吸機能の改善には3ヶ月を要した。当初切除不能であったGISTは主病巣の縮小を認めたことやイマチニブ投与困難のため、胃全摘術、肝外側区域切除および肝部分切除、ラジオ波焼灼術を行った。その後、間質性肺炎の増悪はなかったが、1年半後に新たな肝転移を認めたため肝部分切除を行った。初発から2年半を経過したが、現在外来経過観察中である。【考察とまとめ】切除不能、再発GISTに対してイマチニブの有効性が報告されており治療ガイドラインでも推奨されている。しかし、重篤な副作用の発生率は低くなく、しばしば原疾患治療の妨げとなる。特に、間質性肺炎は重篤化すれば致命的であり、早急に治療を要する。今回、イマチニブによる間質性肺炎を合併し治療に難渋したが、ステロイド治療が奏功し、外科的切除が可能となった胃GIST症例を経験したので報告する。
索引用語 イマチニブ, 薬剤性間質性肺炎