セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専90:高濃度酸素療法が有効であった腸管嚢腫様気腫症の1例 |
演者 | 鷲尾 恵万(九州大学大学院 病態機能内科学) |
共同演者 | 浅野 光一(九州大学大学院 病態機能内科学), 中村 昌太郎(九州大学大学院 病態機能内科学), 松本 孝之(九州大学大学院 病態機能内科学), 熊谷 好晃(九州大学大学院 形態機能病理学), 平橋 美奈子(九州大学大学院 形態機能病理学), 北園 孝成(九州大学大学院 病態機能内科学) |
抄録 | 【症例】50歳,男性.職歴として有機溶媒(トリクロロメタン)の曝露歴あり.平成21年12月に人間ドックの大腸内視鏡検査で上行結腸に粘膜下腫瘍様病変を指摘され,精査のため当科を紹介された.平成22年1月の大腸内視鏡検査では,上行結腸および横行結腸に弾性硬で表面平滑な半球状ないし楕円状の多発する粘膜下腫瘍様隆起を認めた.超音波内視鏡では,隆起に一致して第3層または第5層に音響陰影を伴う無エコー像を認めた.生検組織像では粘膜固有層に多核巨細胞を伴う炎症細胞浸潤を認めた.以上より腸管嚢腫様気腫症と診断した.同年2月のCT検査では上行結腸から肝彎曲部周囲の脂肪織および上行結腸壁に空気の貯留を認め,注腸造影検査では上行結腸に腸管外ガス像を伴う多発する粘膜下腫瘍様隆起を認めた.無症状であったため無治療で経過観察としていたが,平成23年3月の大腸内視鏡,6月のCTおよび7月の注腸造影検査で病変の数ならびに大きさが増大していた.インフォームド・コンセントを得たうえで,平成23年8月1日,高濃度酸素療法目的で当科入院となった.入院時,便潜血が陽性であったが貧血はみられなかった.腹部単純X線検査で上行結腸から肝彎曲部付近にぶどうの房状の気腫像を認めた.経鼻カニューレで5L/分,20時間/日の酸素投与を2週間行った.治療終了後の腹部単純X線検査では気腫像はほぼ消失しており,大腸内視鏡検査では粘膜下腫瘍様隆起の著明な縮小がみられ,残存隆起の表面に粘膜内血腫を認めた.【考察】腸管嚢腫様気腫症は腸管壁の粘膜下または漿膜下に多発性の気腫性嚢胞を形成する比較的まれな病態である.治療法としては,高圧酸素療法,抗生剤投与等の報告例が比較的多くみられるが,高濃度酸素療法は簡便かつ有用と考えられたため,文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | 腸管嚢腫様気腫症, 酸素療法 |