セッション情報 ワークショップ1「炎症性腸疾患の新しい治療戦略」

タイトル WS1-01:

インフリキシマブ二次無効を呈したクローン病症例の特徴

演者 山本 章二朗(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野)
共同演者 橋本 神奈(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 三池 忠(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 平田 晶子(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 竹田 幸子(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 日高 舞(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 夏田 朱一郎(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 山路 卓巳(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 安倍 弘生(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 柴田 直哉(清涼会 いきめ大腸肛門外科内科), 田原 良博(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野), 下田 和哉(宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野)
抄録 【目的】インフリキシマブ(Infliximab:IFX)をはじめとする生物学的製剤の登場により、クローン病の治療法や治療目標、臨床経過などが大きく変化したことはいうまでもない。しかし、IFX二次無効例や骨髄抑制や感染症などの重篤な副作用例に対する使用法、またTop-down療法が本当によいのか、などというように、検討すべき問題も色々ある。ただ、クローン病患者にIFXを導入し、以後計画的維持投与を行う場合には、誰もがIFX二次無効に至らないことを願望している。今回、我々は当科でIFX二次無効を呈したクローン病症例において、後ろ向きにその特徴などを検討した。【対象】当科、当科関連施設で2010年にIFXの投与を行ったクローン病は49例である。そのうち、IFX投与開始後2年以上経過している30例を対象とした。30例の内訳は年齢(中央値):27歳、性別(M/F):15/15、小腸型:大腸型:小腸大腸型=7:5:18であった。腸管手術例は6例、肛門手術例は7例であった。二次無効例を無効例、その他を有効例とし、二次無効例の定義は、クローン病の病状悪化のため、IFXの投与間隔を短縮したもの、クローン病のための入院加療を要したもの、外科的手術を要したものとした。【結果】1. IFX開始2年経過して二次無効を呈した症例(無効例)は7例であった。2. 無効の理由は、腸管病変の再燃が5例、肛門病変の再燃が2例であった。3. 年齢(中央値):無効例:28歳、有効例:26歳であった。4. 性別(M/F)は無効:5/2、有効例:10/13であった。5. 無効例の病変部は小腸型:大腸型:小腸大腸型=2:1:4であった。6. 既知治療としては、5-ASA、AZA(6-MP)の投与割合に有意な差はなかった。7. 喫煙者は無効例4例、有効例4例で、無効例で喫煙の割合が高かった。【結論】IFX開始2年以上経過している例で、二次無効を呈したクローン病症例は男性、小腸に病変あり、喫煙者という特徴があった。このような患者では、より一層強力に治療する必要があると考えられた。今後、さらなる検討を加えて報告する。
索引用語 クローン病, インフリキシマブ二次無効