セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研75:

腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除術を行った胃粘膜下腫瘍の3例

演者 安藤 陽平(九州大学 臨床・腫瘍外科)
共同演者 永井 英司(九州大学 臨床・腫瘍外科), 持留 直樹(九州大学 臨床・腫瘍外科), 前山 良(九州大学 臨床・腫瘍外科), 大内田 研宙(九州大学 臨床・腫瘍外科), 上田 純二(九州大学 臨床・腫瘍外科), 清水 周次(九州大学 臨床・腫瘍外科), 田中 雅夫(九州大学 臨床・腫瘍外科)
抄録 (はじめに)胃粘膜下腫瘍に対する治療法として,近年腹腔鏡下胃局所切除術が普及してきており,その有用性が示されてきている.しかし病変が噴門部や幽門部に近接している場合には腹腔鏡下でのリニアーステープラー一括切除では,術後通過障害の恐れがあり,噴門部あるいは幽門側胃切除を余儀なくされる事が多い.一方、腫瘍ぎりぎりに切除し、欠損部を縫合閉鎖する場合は、漿膜側からだけでは適切な切除ラインの決定が困難な事がある。そこで、内視鏡的に切除線を決定し粘膜下層までITナイフ等で全周切開を行った後に,腹腔鏡下で漿膜・筋層切開を行い,腫瘍を摘出する方法(Laparoscopy endscopy cooperative surgery: 以下LECS)が試されている.今回我々は胃粘膜下腫瘍に対して,LECSで腫瘍を切除し得た3例を経験したので,報告する.(症例)症例1は78歳女性.右季肋部痛を主訴に近医受診し,胆石症を指摘された.その際の上部消化管内視鏡検査で胃体上部後壁に胃粘膜下腫瘍を指摘された.FNAにてc-kit,CD34が陽性,desmin,α-SMA,S100蛋白が陰性でGISTと診断された.手術はLECSと腹腔鏡下胆嚢摘出術を同時に行い,術後経過は良好で術後7日目に退院した.症例2は57歳女性.心窩部痛を主訴に近医受診し,上部消化管内視鏡検査にて胃噴門部に4cm大の粘膜下腫瘍を認めた.同じくFNAにてGISTと診断された.LECSをおこない,術後7日目に経過良好で退院した.症例3は44歳女性.検診の上部消化管造影検査にて胃体部に欠損像を指摘され,上部消化管内視鏡検査で,径3cm大の粘膜下腫瘍を認めた. LECS施行し,病理組織学的検査にてc-kit陰性,CD34,desmin,S-100蛋白がいずれも陰性,α-SMA,Vimentinが陽性で,Leiomyomaの診断となった.術後経過は良好で,術後8日目に退院した.(まとめ)いずれも食道・胃接合部に近接した病変であったが、術後の通過障害を含め合併症なく経過し、栄養状態にも影響を認めていない。腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除術は,胃粘膜下腫瘍において低侵襲,かつ安全性の面において有用であると思われた.
索引用語 胃粘膜下腫瘍, 腹腔鏡手術