セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専91:

大腸亜全摘術後の回腸嚢軸捻転の1例

演者 有馬 浩太(熊本大学消化器外科)
共同演者 岩槻 政晃(熊本大学消化器外科), 大内 繭子(熊本大学消化器外科), 中村 健一(熊本大学消化器外科), 井田 智(熊本大学消化器外科), 長井 洋平(熊本大学消化器外科), 岩上 志朗(熊本大学消化器外科), 石本 崇胤(熊本大学消化器外科), 馬場 祥史(熊本大学消化器外科), 坂本 快郎(熊本大学消化器外科), 宮本 裕士(熊本大学消化器外科), 渡邊 雅之(熊本大学消化器外科), 馬場 秀夫(熊本大学消化器外科)
抄録 【はじめに】回腸を用いたJ-pouch(回腸嚢)は大腸全摘や亜全摘後の再建に一般的に用いられている。今回大腸亜全摘術後に直腸回腸嚢吻合の軸捻転によってイレウスを生じたまれな症例を経験したので報告する。【症例】62歳、女性。潰瘍性大腸炎に対し、近医にて15年前に大腸亜全摘+回腸嚢直腸吻合術施行。術後何度かイレウスを生じ、保存的加療にて軽快していた。×月×日18時頃から腹痛、嘔気出現あり当院救急搬送。腹部は著明に膨満していたが腹膜刺激症状は認められなかった。CTにて腹水貯留と左下腹部から骨盤内に著明に拡張した腸管を認めた。拡張した腸管にはstaple lineが認められ、回腸嚢と考えられた。さらに、回腸嚢の前面を横切るように走行する血管が認められ、回腸嚢の捻転を示唆する画像と考えられたため、同日緊急手術を施行した。開腹すると、回腸嚢直腸吻合部を軸として回腸嚢が180°捻転し、閉塞機転となっていた。腸管の壊死の所見はなく、用手的に捻転を解除した。腸管内には大量の腸液が貯留しており、肛門よりネラトンカテーテルを挿入し可及的に減圧した。再発予防のため回腸嚢を腹壁に固定し、経肛門的に回腸嚢の減圧チューブを留置して手術を終了した。術後の経過は良好で、術後10日目に自宅退院となった。【まとめ】大腸亜全摘術後の回腸嚢捻転を生じた非常にまれな1例を経験した。回腸嚢肛門吻合の軸捻転はこれまでに4例が報告されているが、回腸嚢直腸吻合の軸捻転の報告はない。回腸嚢の温存のためには早急な手術が必要であり、再発余郷のための回腸嚢の固定が必要と考えられる。極めてまれではあるが、大腸全摘・亜全摘後の回腸嚢再建後に留意すべき晩期合併症と考えられた。
索引用語 大腸亜全摘, 晩期合併症