セッション情報 一般演題

タイトル 089:

PEG-IFN/RBV併用療法中に脳膿瘍を発症したC型慢性肝炎の1例

演者 今中 大(鹿児島大学大学院消化器疾患生活習慣病学DELIMITER霧島市立医師会医療センター)
共同演者 藤崎 邦夫(霧島市立医師会医療センター), 橋口 正史(霧島市立医師会医療センター), 山崎 成博(霧島市立医師会医療センター), 長谷川 将(霧島市立医師会医療センター), 児玉 和久(霧島市立医師会医療センター), 重田 浩一朗(霧島市立医師会医療センター), 三阪 高春(霧島市立医師会医療センター), 肱黒 薫(霧島市立医師会医療センター), 水上 京子(霧島市立医師会医療センター), 中野 真一(霧島市立医師会医療センター), 川畑 拓也(川畑内科医院), 宇都 浩文(鹿児島大学大学院消化器疾患生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院消化器疾患生活習慣病学)
抄録 症例は70歳男性。1991年血液検査で肝機能異常を指摘され、その後の検査でC型慢性肝炎(1b型高ウイルス量)の診断となった。近医でのUDCA治療にてAST、ALTはほぼ正常範囲で推移したが、2009年3月23日ウイルス排除を希望したため当科外来へ紹介され、5月18日よりPEG-IFNα2a 180μg/週、RBV 800mg/日で治療を開始した。軽度の血小板減少が見られたものの有意な副作用は認めず、以後近医と当科にて治療を継続した。2011年2月28日(治療開始後41週目)より微熱が出現し、3月8日(治療開始後42週目)より39℃台の高熱が見られ、3月9日尿失禁、下肢脱力、意識朦朧となったため、当科へ救急搬送された。頭部MRI検査で右側頭葉に占拠性病変を認め、Gd造影では辺縁にのみ造影効果を認め脳膿瘍が疑われ、精査加療目的で同日当院脳神経外科へ入院した。髄液検査で細胞数1536、蛋白定量253、糖定量38であり、脳膿瘍及び髄膜炎、脳室炎の診断下同日よりMEPN6g/日、グリセオール600ml/日の投与を開始し、解熱および意識レベルが改善した。その後脳室穿破を認めたため、3月11日脳膿瘍排膿術を施行された。術中・術後にドレーンからの髄液の流出は見られず、経過中に膿瘍腔は被包化されたものと考えられた。膿培養からはαstreptococcusが検出された。MEPN6g/日、グリセオール600ml/日は6週間継続投与され、意識もほぼ清明な状態となった。その後の頭部MRI検査では膿瘍腔はほぼ消失していた。現在脳膿瘍の再発はなく経過している。 脳膿瘍の発症機序については、併発の歯肉炎をfocusとした、IFN治療による免疫低下に伴う血行感染と考えられた。PEG-IFN/RBV併用療法は2011年3月8日で終了したが、治療終了16週後の7月5日まではHCVRNA陰性化が持続しており、終了24週でSVRが得られた。 PEG-IFN/RBV併用療法中に脳膿瘍を発症した症例の報告は少なく、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 PEG-IFN/RBV併用療法, 脳膿瘍