セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専50:

原発性副甲状腺機能亢進症が原因と考えられた壊死性膵炎の1例

演者 大城 拓巳(豊見城中央病院 消化器内科)
共同演者 真喜志 知子(豊見城中央病院 消化器内科), 石原 祐史(豊見城中央病院 消化器内科), 與儀 竜治(豊見城中央病院 消化器内科), 峯松 秀樹(豊見城中央病院 消化器内科), 玻座真 博明(豊見城中央病院 消化器内科), 加藤 功大(豊見城中央病院 消化器内科), 島袋 誠守(豊見城中央病院 外科), 新垣 京子(豊見城中央病院 病理)
抄録 症例は63歳女性。既往に高血圧症あり。朝から腹部膨満感あり近医を受診。緩下剤処方されるも改善なく、夕方になり腹痛増悪したため当院へ救急搬送となった。バイタルサインは問題なかったが、腹部全体に圧痛を認め、血中AMY 1205IU/L、Ca 10.9mg/dlと上昇していた。腹部造影CTでは膵は全体的に腫大し膵体部に造影不良域を認め、急性膵炎の重症度判定基準で造影CT Grade3の所見であり、重症の判定となった。内分泌検査ではintact-PTH 170pg/mlと高値を示し、PTHrPは正常値であり、原発性副甲状腺機能亢進症が疑われた。超音波検査では甲状腺両葉下極に8mm大の低エコーを呈する結節が認められ、頚部造影CTでははっきりしなかったが、MIBIシンチグラムで甲状腺右葉下極に集積が認められた。右副甲状腺腫による副甲状腺機能亢進症が疑われた。入院中、血清Ca値の上昇に伴い膵炎の再燃を認めたため、ビスホスホネート製剤の注射にてコントロールを行い、膵炎は落ち着いた。第49病日に右副甲状腺腫瘍摘出術を施行、病理診断は副甲状腺腺腫であった。多発性内分泌腫瘍症(MEN typeI)の合併は否定的であった。術後は血清Ca値、intact-PTH値は正常化し、膵炎の再燃は認めなかった。壊死性膵炎の状態であった膵体部を中心に径11cm大の嚢胞を形成、胃壁を圧排し嘔気、嘔吐が続いたため、経口摂取が困難であった。膵仮性嚢胞に感染を合併したため、第69病日に超音波内視鏡下膵仮性嚢胞ドレナージ術を行ったが、改善は得られず。第103病日に当院外科にてネクロセクトミーが施行された。術後経過は良好で経口摂取可能となり、第149病日に退院となった。最近の報告では原発性副甲状腺機能亢進症に膵炎を合併する頻度は1.1-1.5%と稀であり、リスクファクターも未だ明らかではない。今回我々は壊死性膵炎を契機に発見された原発性副甲状腺機能亢進症の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 膵炎, 原発性副甲状腺機能亢進症