セッション情報 |
ワークショップ1「炎症性腸疾患の新しい治療戦略」
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タイトル |
WS1-12:潰瘍性大腸炎に対する血球成分除去療法の有効性に関する因子について
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演者 |
中野 良(佐賀大学消化器内科DELIMITER多久市立病院内科) |
共同演者 |
山口 太輔(佐賀大学消化器内科), 渡邊 聡(佐賀大学消化器内科), 宮原 貢一(佐賀大学消化器内科), 藤瀬 剛弘(佐賀大学消化器内科), 下田 良(佐賀大学光学医療診療部), 坂田 祐之(佐賀大学消化器内科), 岩切 龍一(佐賀大学光学医療診療部), 藤本 一眞(佐賀大学消化器内科) |
抄録 |
目的:潰瘍性大腸炎の治療の一つとして血球成分除去療法(LRT)は副作用が少なく有用な治療法として認識されているが,中には効果が不十分な例も散見される.可能な限り早期に寛解へ導入するために、LRTのよりよい効果が期待できる症例について因子を検討した。方法:1998年4月~2010年3月,活動期UC 98症例に対しLRTを施行した。GMA38症例,LCAP54例であった.治療は1週目2回、2週目以降1回の計5回、難治例は計10回を施行.CAIスコアが5未満に低下しかつMatt`sスコア1、2点の症例を寛解、CAIスコア5ポイント以上の改善を認めかつMatt`sスコア1~3点例を改善と定義した.年齢,罹患期間,再発回数,生涯総ステロイド量,CAIスコア,内視鏡所見(Matt`sスコア),WBC,Hb、CRP,ESR,CMV合併と治療効果との関連を検討した.検討はLRT初回例・2回目以降症例に分け、さらにLRT後の効果とLRT後1年間の寛解維持率も検討を行った。結果:奏功率はGMAで82%,LCAPで74%で有意差なく、改善・寛解群とLRT無効群を比較し,LRT初回例では50歳以上,CAIスコア≧17,Matt`sスコア4点例,CRP5mg/dl以上で有意にLRTの効果が低かった.他の因子は,寛解改善群と無効群で有意差なく、LRT2回目以降では再発回数3回以上の症例で無効例が多かった。さらに1年後の寛解維持率ではLRT初回例では再発2回以上,CRP5mg/dl以上、ESR70mm/H以上の症例で、2回目以降では病期が10年超の症例で寛解維持率が悪かった。結語:白血球除去療法は有効な治療法であるが,治療前の活動性が年齢50歳以降、CAIスコア17点以上、内視鏡所見重症例(Matt`s内視鏡スコア4点相当)、CRP5以上の症例、施行後1年間の寛解維持効果については通算再発回数2回以上の症例、CRP5mg/dl以上の例、ESR 70mm/H以上の例において、寛解維持ができていない症例が多かった。2回目以降の症例は寛解導入効果、寛解維持効果いずれも初回例と比較し効果に乏しかった。上記に該当する症例はLRT以外の治療法の併用またはLRTとの併用が望ましいと考えられた。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, 血球成分除去 |