セッション情報 ワークショップ6「難治性肝胆膵疾患に対する治療」

タイトル WS6-05:

Hyperglycemic crisesを合併した重症急性膵炎の2例

演者 肱岡 真之(九州大学病態制御内科)
共同演者 五十嵐 久人(九州大学病態制御内科), 岩尾 梨沙(九州大学病態制御内科), 李 倫學(九州大学病態制御内科), 内田 匡彦(九州大学病態制御内科), 新名 雄介(九州大学病態制御内科), 藤森 尚(九州大学病態制御内科), 中村 太一(九州大学病態制御内科), 大野 隆真(九州大学病態制御内科), 高柳 涼一(九州大学病態制御内科), 伊藤 鉄英(九州大学病態制御内科)
抄録 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)や非ケトン性高浸透圧性昏睡(HONK)などのHyperglycemic crisesに急性膵炎を合併する報告例は散見される。大量インスリン療法や輸液など治療において通常の膵炎に比べて注意すべき点が多い。(症例1)51歳男性。元々大酒家であり、飲酒後に腹部膨満感・意識混濁を認め、前医を受診。血糖1299mg/dl、血清Amy 273IU/lと高値であり、腹部CTにて膵腫大および周囲浸出液貯留を認めた。膵炎の診断にて当院紹介。重症度スコア(旧分類)は7点(stage2)であり、重症急性膵炎と診断した。人工呼吸器管理を含む集学的治療を行なった。Na 173mEq/l, BUN 66mg/dl, 血清クレアチニン 1.6mg/dlと高Na血症及び腎機能障害を認め、BGAはpH 7.22, HCO3- 11.1 mEq/l, BE -15.4mEq/lであった。HONKと診断し、インスリン持続静注療法及び1/4~1.2大量補液を行い、膵炎及びHONKは改善した。(症例2)38歳男性。最近清涼飲料水の摂取が増えていた。感冒症状があり内服薬にて様子を見ていたが、異常行動や意識障害が出現したため前医受診。血糖 1800mg/dl, 血清Amy 1900IU/l, BUN 76mg/dl, 血清クレアチニン 3.6mg/dlと異常を認めた。BGAはpH 7.23, HCO3- 11.1 mEq/l, BE -11mEq/lであり尿中ケトン陽性であった。腹部CTでは膵腫大を認めた。以上よりDKAに合併した急性膵炎と診断され、当科紹介。重症度スコア(旧分類)は10点(stage3)であり重症急性膵炎と診断した。人工呼吸器管理及び透析療法などの集学的治療を行った。DKAに対してはインスリン持続静注療法を行った。感染性膵壊死を合併したが、内視鏡的ドレナージ術にて改善した。(考察)Hyperglycemic crisesでは高アミラーゼ血症を認める例があり、そのうち膵炎を合併する症例も存在する。意識障害により腹部症状の訴えが欠如する症例もあり、高血糖を伴う意識障害の場合には膵炎の可能性も念頭に置く必要があると考える。当科で経験したHyperglycemic crisesに重症急性膵炎を合併した2症例について文献的考察を加えてこれを報告する。
索引用語 Hyperglycemic crises, 重症急性膵炎