セッション情報 ワークショップ5「難治性消化管疾患の外科治療」

タイトル WS5-11:

IBDに合併した大腸癌の手術症例の検討

演者 橋本 泰匡(佐世保市立総合病院 外科)
共同演者 石川 啓(佐世保市立総合病院 外科), 小畑 智裕(佐世保市立総合病院 外科), 佐藤 綾子(佐世保市立総合病院 外科), 山根 裕介(佐世保市立総合病院 外科), 飛永 修一(佐世保市立総合病院 外科), 福岡 秀敏(佐世保市立総合病院 外科), 角田 順久(佐世保市立総合病院 外科), 岩崎 啓介(佐世保市立総合病院 病理)
抄録 はじめに、潰瘍性大腸炎の癌合併率は、健常人に比して約4.4倍であり、潰瘍性大腸炎全体の約0.6%とされている。危険因子としては、長期罹患例、全大腸炎型、左側大腸炎型などがあげられており、5年生存率は、約52%である。また、クローン病においては、癌合併の危険因子として、やはり長期罹患例や40歳以下の若年例、バイパス腸管、狭窄、瘻孔などが、あげられている。目的:当科におけるIBDに合併した大腸癌の手術症例について検討することで、IBDに対する癌サーベイランス、手術方法などについて考察したい。対象症例:1999年1月~2011年8月の期間で、当科において、潰瘍性大腸炎に対する手術症例8例のうち、2例(25%)で大腸癌の合併を、クローン病の手術症例31例のうち、1例(3.2%)で大腸癌の合併を認めた。これらの癌合併症例の患者背景、癌合併時の年齢、性別、IBDの罹患年数、診断契機、占拠部位、肉眼型、腫瘍径、組織型、深達度、stage、術式、術後経過などについてまとめた。症例1:潰瘍性大腸炎、46歳、女性、18年間、CS、Rb、0-IIa、20mm、por1、MP、stageI、腹腔鏡補助下大腸全摘術、J型回腸嚢肛門管吻合術。術後4年経過し経過良好。症例2:潰瘍性大腸炎、51歳、女性、診断時同時発見、CS、S、type2、50mm、tub2、SE、stageIIIa、結腸亜全摘術、回腸人工肛門造設術、S状結腸粘液瘻造設術。術後10ヶ月経過し経過良好。症例3:クローン病、76歳、女性、診断時同時発見、Ce、type、mm、tub2、SE、stageII、小腸切除術、盲腸切除術。術後6年経過し、経過良好。結語:IBDにおいて、癌合併の危険因子として、長期罹患例が挙げられている。症例1では、罹患後18年で癌合併しており、やはり定期的な内視鏡検査、注意深い観察が重要であると考えられる。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 大腸癌