セッション情報 ワークショップ6「難治性肝胆膵疾患に対する治療」

タイトル WS6-13:

重症型アルコール性肝炎に対するステロイド非併用例顆粒球除去療法(GCAP)7例の検討

演者 蓮池 悟(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野)
共同演者 永田  賢治(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野DELIMITER宮崎大学医学部附属病院肝疾患センター), 大園 芳範(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 竹田 幸子(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 平田  晶子(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 日高 舞(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 橋本 神奈(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 山路 卓巳(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 中村 憲一(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 安倍 弘生(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 三池 忠(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 楠元 寿典(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 岩切 久芳(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 山本 章二朗(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 稲田 由紀子(宮崎医療センター病院消化器肝臓病センター), 加藤 順也(独立行政法人国立病院機構 都城病院), 下田 和哉(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野DELIMITER宮崎大学医学部附属病院肝疾患センター)
抄録 【目的】重症型アルコール性肝炎(SAH)は予後不良の疾患であり、その治療として副腎皮質ステロイド(CS)、血漿交換、白血球(顆粒球除去)療法など が行われている。当科では以前よりSAHに対してCA非併用での顆粒球除去療法(GCAP)を施行し成績を報告してきた。今回炎症性サイトカインならびに 酸化ストレスの指標となるD-ROMテストでの検討を追加したので報告する。【方法】対象は2003年から2010年にかけて当科に入院した重症アルコール性肝炎7例。年齢の中央値は48(25-60)歳、男性5例女性 2例。全例に腹水、黄疸を認めたが、II度以上の肝性脳症はなかった。治療前重症度はGlasgow Score 9-12 (11), DF 42-111(69), 慶応大学の予後予測スコア35-102 (70)%, MELD score 29-40 (36), 90日死亡率28-89 (73)%。GCAPの施行回数は3-10 (5)回で、スケジュールは症例毎に決定した。全例、GCAP前のCS投与はなし。検討項目は30日および100日めの生存率、一連のGCAP前後での白 血球数、PT (%)、炎症性サイトカイン値およびD-ROMテストの変動。 【成績】一例のみGCAP終了後も白血球が増加し肝不全の進行がみられCS投与を行った。全例、脳症や腎不全への進行はなく血漿交換や透析にはいたらなかった。開始後30日めの生存率は100%で、100日の生存率は85 (6/7) %であった。死亡した1例は予備能改善し、退院予定であったが41日めに突然の下血をきたした症例であった。白血球数やPTはGCAP終了時に4例、退 院時には全例に改善がみられた。血中のIL6, IL8, sICAM-1濃度は治療前高値であったが、治療終了の時点でそれぞれ86, 83, 100%の症例で低下がみられた。D-ROM値は全例で総じて低く (平均188.4U CARR)、治療後も変動はみられなかった。現在BAP法により抗酸化力を検討中である。【結論】少数例、非脳症例での検討ではあるがSAH症例にGCAPを施行することで炎症性サイトカインが低下しまた高い生存率が得られた。酸化ストレスの治療効果への関与について今回は明らかではなかった。
索引用語 顆粒球除去療法, 重症アルコール性肝炎