セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専01:糖原病III型に対して脳死肝移植を施行した1例 |
演者 | 峯 由華(長崎大学大学院 移植・消化器外科) |
共同演者 | 高槻 光寿(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 曽山 明彦(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 村岡 いづみ(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 山口 泉(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 田中 貴之(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 木下 綾華(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 川原 大輔(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 黒木 保(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 大野 慎一郎(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 金高 賢悟(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 南 恵樹(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 藤田 文彦(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 山之内 孝彰(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 伊藤 信一郎(長崎大学大学院 移植・消化器外科), 木下 直江(長崎大学病院 病理部), 林 徳真吉(長崎大学病院 病理部), 市川 辰樹(長崎大学大学院 移植・消化器外科DELIMITER長崎大学病院 消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科), 江口 晋(長崎大学大学院 移植・消化器外科) |
抄録 | 糖原病III型に対して脳死肝移植を施行した症例を経験したので報告する。症例は35才男性、幼少時より肝機能障害を認め、肝生検および遺伝子診断でアミロ-1,6-グルコシダーゼ欠損が認められ、糖原病III型と診断された。発達障害や低血糖などの典型的症状はなかったが、徐々に肝障害が進行し非代償性肝硬変の状態となり、脳死肝移植待機患者として登録された。登録時、腹部CTで肝萎縮および腹水著明で、総ビリルビン値10.6mg/dl、PT31%と高度肝機能障害の状態であった。ウイルス性疾患や自己免疫性疾患等は否定され、糖原病から非代償性肝硬変に到ったものと思われた。待機期間57日で脳死肝提供を受け、全肝置換による移植術を施行した。摘出肝の重量は1,332gで、病理組織検査では混合結節性肝硬変の像であり、膨化した細胞質にPAS染色でグリコーゲンの蓄積がみられ、糖原病として矛盾しない所見であった。術後経過は良好で、術後28日で自宅退院となった。現在術後3ヶ月を経過しているが、肝機能良好で原疾患の再発は認めていない。糖原病はグリコーゲンの分解に必要な酵素の先天的異常により肝臓、筋肉などの組織にグリコーゲンが異常に蓄積する疾患で、肝型(I,III,IV型など)は程度により肝移植の適応となる。通常、IV型以外は肝腫大を呈し、代謝異常による症状の制御が困難な場合または多発肝腺腫に対して移植適応となることが多いが、III型でも本例のように非代償性肝硬変に到る症例もあり、肝移植が有効であった。 |
索引用語 | 肝移植, 糖原病III型 |