セッション情報 ワークショップ6「難治性肝胆膵疾患に対する治療」

タイトル WS6-10:

慢性膵炎に対する外科的治療

演者 大野 慎一郎(長崎大学大学院移植・消化器外科)
共同演者 黒木 保(長崎大学大学院移植・消化器外科), 足立 智彦(長崎大学大学院移植・消化器外科), 田中 貴之(長崎大学大学院移植・消化器外科), 望月 響子(長崎大学大学院移植・消化器外科), 曽山 明彦(長崎大学大学院移植・消化器外科), 伊藤 信一郎(長崎大学大学院移植・消化器外科), 山之内 孝彰(長崎大学大学院移植・消化器外科), 藤田 文彦(長崎大学大学院移植・消化器外科), 南 恵樹(長崎大学大学院移植・消化器外科), 金高 賢悟(長崎大学大学院移植・消化器外科), 高槻 光寿(長崎大学大学院移植・消化器外科), 江口 晋(長崎大学大学院移植・消化器外科)
抄録 【背景と目的】慢性膵炎では、内科的治療により病態のコントロールを行うことが一般的だが、難渋する症例も経験する。我々は、内科的治療に抵抗性、あるいは癌の存在が否定できないものには、積極的に外科的治療を適応している。当科で外科的治療を行った慢性膵炎を解析し有効性を明らかにする。【対象】1999年から2011年までに当科で治療を行った慢性膵炎症例30例。男性28例、女性2例。平均年齢は56.5歳(36~78)。成因は、アルコール性27例、非アルコール性3例。また、併存膵疾患は膵石症25例、内膵液瘻8例、腫瘤形成性膵炎3例。前治療歴は19例(63%)、保存的加療7例、内視鏡治療5例、内視鏡治療不成功3例、ESWL+内視鏡治療1例、PTCD1例、その他2例。【結果】外科的治療の内訳は、膵管減圧術16例(Frey手術8、Partington手術6、Peustow手術2例)、膵頭切除6例(PD3、PPPD1、PHRSD2)、膵尾側切除6例、膵中央部切除1例、胃嚢胞吻合1例で、平均手術時間は420分、平均出血量は1045mlであった。また近年は低侵襲手術を積極的に導入し、HALSで5例、小開腹で4例手術を施行した。術後合併症はGrade B膵液瘻を1例、消化管出血1例、呼吸器合併症2例、敗血症1例、門脈血栓症を1例に認め、合併症発生率は20%であったが、全例保存的に軽快した。平均術後在院期間は20日であった。疼痛を指標にした治療奏効率は93.3%であった。【結語】慢性膵炎に対する外科手術は、治療効果に優れ、重篤な合併症発生率も低い。内科的治療に難渋する症例では、病態に応じて適切な術式を選択することで、良好な結果を得ることができる。
索引用語 慢性膵炎, 外科的治療