セッション情報 | ワークショップ1「炎症性腸疾患の新しい治療戦略」 |
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タイトル | WS1-10:当院における難治性潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスの使用経験 |
演者 | 川崎 剛(熊本大学大学院 消化器内科学) |
共同演者 | 具嶋 亮介(熊本大学大学院 消化器内科学), 堤 英治(熊本大学大学院 消化器内科学), 奥田 彩子(熊本大学大学院 消化器内科学), 鴻江 勇和(熊本大学大学院 消化器内科学), 野中 康一(熊本大学大学院 消化器内科学), 加来 英典(熊本大学大学院 消化器内科学), 尾崎 徹(熊本大学大学院 消化器内科学), 直江 秀昭(熊本大学大学院 消化器内科学), 横峰 和典(熊本大学大学院 消化器内科学), 櫻井 宏一(熊本大学大学院 消化器内科学), 佐々木 裕(熊本大学大学院 消化器内科学) |
抄録 | 【はじめに】H21年わが国においてタクロリムス水和物に、難治性の活動期潰瘍性大腸炎の適応が追加された。H22年度の潰瘍性大腸炎治療指針でも、重症例、難治例の治療の選択肢の一つとなっている。今回、当院に難治性の活動期潰瘍性大腸炎で紹介となりタクロリムスにて加療した3症例について報告する。いずれの症例も当院入院までに5-ASA製剤、ステロイド、白血球除去療法にて治療を行うも、治療効果が乏しく当院へ紹介となった。また、タクロリムスの目標トラフ値は投与開始最初の2週間は10~15ng/mlとし2週間以降は5~10ng/mlを目標値として設定した。【症例1】35歳女性。31歳発症の全大腸炎型の潰瘍性大腸炎。寛解導入できないまま妊娠出産し、産後に潰瘍性大腸炎の増悪を認めた。入院時の臨床的重症度分類は重症であった。タクロリムス投与開始後、1週間程度で排便回数の減少傾向を認め、3週間程度で血便の消失を認めた。アザチオプリン内服開始となり退院した。【症例2】17歳女性。15歳発症の全大腸炎型の潰瘍性大腸炎。入院時の臨床的重症度分類は重症であった。タクロリムス投与開始し1週間程度で血便の消失、排便回数の減少、腹痛の改善を認めた。アザチオプリン内服開始となり退院した。【症例3】48歳男性。47歳発症の全大腸炎型の潰瘍性大腸炎。タクロリムスの投与、インフリキシマブの投与を行った。血便の改善は認めるものの、排便回数の減少は認めず、内視鏡的所見では炎症の改善を認めなかった。【結語】当院で経験した3例のうち2例で寛解導入に至った。副作用として手の振戦を認める程度で比較的安全に使用できた。血中濃度の測定を行い、適切な血中濃度に調整することで安全に使用することが可能であり、今後、難治性潰瘍性大腸炎の寛解導入に有用な治療の一つと考えられた。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, タクロリムス |