セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研44:

Ileusにて救急搬送された回腸Endometriosisの一例

演者 荒井 雅(北九州総合病院 研修医)
共同演者 春田 泰宏(北九州総合病院 研修医), 篠原 育代(北九州総合病院 外科), 黒田 宏昭(北九州総合病院 外科), 坂本 喜彦(北九州総合病院 研修医), 永田 直幹(北九州総合病院 外科), 實藤 隼人(北九州総合病院 臨床検査部・研究部)
抄録 【症例】44歳、女性【主訴】腹痛、嘔吐【既往歴】11歳時、虫垂切除術【現病歴】2011年4月2日腹痛が出現。月経中であり、生理痛と思い鎮痛剤を服用したが、疼痛は増強し、嘔吐を認めたため他院を受診した。腹部レントゲン、CTで虫垂炎術後の癒着性ileusと診断され当院へ紹介された。【入院時所見】腹部膨満あり、腹部全体に圧痛著明で、反跳痛は極めて高度。板状硬や筋性防御なし。腸蠕動音聴取せず。【入院時検査所見】TP 7.1 g/dl, TB 0.54 mg/dl, AST 17 IU/L, ALT 12 IU/L, CRP 0.35 mg/dl, WBC 17500/μl, RBC 371x104/μl, Hb 11.3 g/dl, HBs-Ag (-), HCV-Ab (-)  【入院後経過】腹部レントゲン、CTで小腸の著明な拡張を認め、質的診断不明の腫瘤性病変を2ヶ所認めた。Ileusの診断で緊急手術が施行された。手術時所見では、著明な小腸拡張を認め、腹腔内には淡血性腹水を認めた。回盲部より3cmおよび8cmの部にひきつれを伴う腫瘤を認めた。また、Treitzより40cm遠位の空腸にも直径10mm大の腫瘤を認めた。【病理所見】回腸の腫瘤病変では子宮内膜組織が筋層内に認められ、反応性の線維化を伴い、Endometriosisの診断であった。また、空腸の腫瘤は異所性膵組織であった。【考察】Endometriosisは全身どの組織にも起こることが報告され、極めて稀には副腎、腎、大脳などの症例も見られる。小腸では大腸よりはるかに頻度が少ないとされる。今回のileusの原因はendometriosisによる腸管の狭窄が原因であった。画像では質的診断は困難であるが、女性のileus患者に遭遇した場合には常に念頭に置いておくべき疾患である。術後経過は順調で術後10日目に退院した。
索引用語 Endometriosis , Ileus