セッション情報 一般演題

タイトル 168:

保存的治療で軽快した感染性縦隔内膵仮性嚢胞の一症例

演者 立花 雄一(済生会福岡総合病院内科)
共同演者 明石 哲郎(済生会福岡総合病院内科), 江崎 充(済生会福岡総合病院内科), 西嶋 健一(済生会福岡総合病院内科), 富田 洋介(済生会福岡総合病院内科), 向井 康二(済生会福岡総合病院内科), 吉村 大輔(済生会福岡総合病院内科), 落合 利彰(済生会福岡総合病院内科), 土田 治(済生会福岡総合病院心療内科), 壁村 哲平(済生会福岡総合病院内科)
抄録 膵仮性嚢胞は膵炎の合併症としてしばしば経験する。しかし縦隔内膵仮性嚢胞はまれで、嚢胞摘出術や嚢胞ドレナージ術などの侵襲的治療が選択されることが多い。今回我々は、糖尿病性ケトアシドーシスで発症し、腸管と交通、感染をきたした縦隔内膵仮性嚢胞に対し保存的に軽快した症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。症例は49歳男性。重症急性膵炎に対し入院加療歴あり。糖尿病に対しインスリン治療中であったが自己判断でインスリン量を調節していた。2011年7月に嘔吐して倒れているところを妻が発見、救急要請した。搬送中に数回嘔吐を認め、来院時意識レベル低下を認めた。血液検査にてアシドーシスと高血糖、尿中ケトン陽性の所見を認め、糖尿病性ケトアシドーシスの診断で入院となった。入院時軽度の見当識障害あり、体温36.5℃、脈拍105/分、整、血圧115/60mmHg、呼吸数24/分。入院時検査所見:動脈血ガスpH 7.092, BE -24.6, 血液検査 WBC 19200/μl, Glu 913mg/dl, Amy 23IU/L, CRP 21.1mg/dl。入院後生食大量輸液、インスリン投与にて意識障害、高血糖、アシドーシスは改善したが2病日より38度台の発熱を認め、入院時の血液培養で肺炎桿菌が検出された。5病日には腹痛あり、CTで膵体部と膵頭部に仮性嚢胞を認め、膵頭部の嚢胞は食道裂孔まで達し、内部にはガス像を認め、腸管との交通が疑われた。絶食、MEPM投与にて保存的に経過をみた。腹痛は軽快傾向となり全身状態の増悪も認めなかった。12病日のCTでは膵頭部の仮性嚢胞は増大し縦隔に達していた。13病日よりエレンタールの内服を開始し、22病日より解熱傾向となった。26病日CTで嚢胞は著明に縮小し、低脂肪食を開始した。その後も経過良好で35病日退院となった。
索引用語 膵仮性嚢胞, 糖尿病性ケトアシドーシス