セッション情報 一般演題

タイトル 052:

新規制吐剤により化学療法が継続可能であった再発大腸癌の一切除例

演者 岡田 和也(光晴会病院外科)
共同演者 岸川 博紀(光晴会病院外科), 大久保 仁(光晴会病院外科), 米田 晃(光晴会病院外科)
抄録 <背景>悪心・嘔吐は癌化学療法を受ける患者が最も嫌う副作用の一つであり、食欲不振や倦怠感を伴いQOLを悪化させる。 また、悪心・嘔吐のコントロールは治療の完遂率にも影響し、最終的には化学療法の効果を低下させる可能性があると言われている。今回我々は、新規制吐剤アプレピタントならびにパロノセトロンにより化学療法を継続することが可能となりS状結腸癌術後傍大動脈リンパ節転移を切除し得た一例を経験したので報告する。<症例>症例は46歳の女性で2008年12月17日S状結腸癌にてS状結腸切除術を施行した。病理結果はadenocarcinoma, moderately (>well) differentiated, tub2、infα、ly0、v1、n+(241 1/2, 242 1/2, 251 2/2, 253 4/5)であった。病理結果より静脈ポートを留置後2009年1月23日よりmFOLFOX6を開始した。2009年9月19日腹部CTにて左腎静脈分岐レベルの傍大動脈リンパ節の増大を認め、2009年10月12日よりBevacizumab+FOLFIRIを導入。導入時、強い悪心と週に20回程度の嘔吐を認めたが好中球減少などその他の有害事象は認められなかったため抗癌剤を減量することなくアプレピタントを開始。嘔吐回数は週に3~4回となり悪心も軽減した。しかしながら、その後徐々に悪心が増強したためパロノセトロンを併用したところ悪心はさらに軽減し嘔吐もほとんど認められなくなった。これらの制吐剤併用によりその後も化学療法の継続が可能となり、傍大動脈リンパ節腫大は徐々に縮小。PET/CTにて同部に集積が認められたものの他部位への集積なく2011年6月15日大動脈周囲リンパ節郭清術を施行した。現在、再発の徴候なく外来にて経過観察中である。<結語>新しい制吐剤の登場により制吐療法はめざましく進歩しており、当院においてもこれらの薬剤の効果がみられた症例を経験した。 化学療法によって起こる悪心・嘔吐は治療の継続に影響を与え化学療法の効果を低下させる可能性があり、新規制吐剤は化学療法において重要な役割を担う薬剤の一つであると考えられた。
索引用語 大腸癌化学療法, 新規制吐剤