セッション情報 一般演題

タイトル 148:

十二指腸原発扁平上皮癌に対し、TS-1単剤療法が著効した一例

演者 藤田 俊浩(済生会川内病院)
共同演者 濱元 ひとみ(済生会川内病院), 宮田 生弥子(済生会川内病院), 那須 雄一郎(済生会川内病院), 大重 彰彦(済生会川内病院), 重信 秀峰(済生会川内病院), 青崎 眞一郎(済生会川内病院), 坪内 博仁(済生会川内病院)
抄録 症例は89歳男性。以前より2型糖尿病、本態性高血圧症、逆流性食道炎で近医に通院中であった。平成21年12月頃より徐々に血糖コントロールが不良となり、平成22年2月に当院へ紹介となった。腹部造影CTで、十二指腸下行脚の一部に壁肥厚を認め、また肝S7-8に径3cmの腫瘍を認めた。上部消化管内視鏡検査、および十二指腸造影検査で、十二指腸球部から下行脚にかけて、中心に潰瘍を形成し周堤を有する腫瘍を認めた。生検では浸潤性増殖を示す腫瘍性細胞を認め、免疫染色ではサイトケラチン5・6が陽性であり、形態や配列からも扁平上皮癌と診断された。以上より、肝転移を有する2型の十二指腸原発扁平上皮癌と診断し、TS-1による治療を選択した。TS-1 80mg/bodyで14日間投与、7日間休薬を1コースとし、3月下旬より投与開始した。2コース終了後の上部消化管内視鏡検査では、十二指腸の腫瘍はほぼ消失・瘢痕化し、生検でも腫瘍成分は検出されなかった。十二指腸造影検査では管腔の狭小化は消失し、腫瘍は著明に縮小していた。CTでも壁肥厚は消失していたが、肝腫瘍は不変であった。その後、外来でTS-1内服を継続し、15コース終了した時点でも十二指腸癌及び肝腫瘍の増大や新たな病変の出現は認めなかった。原発性十二指腸癌は、全消化器癌の0.4%以下と非常に稀な疾患であり、さらに扁平上皮癌の報告は極めて少ない。また、十二指腸扁平上皮癌に対する有効な化学療法の報告は殆どない。今回、我々は、十二指腸原発扁平上皮癌に対し、TS-1単剤療法が著効した貴重な一例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
索引用語 十二指腸癌, TS-1