セッション情報 一般演題

タイトル 159:

セフトリアキソン投与が原因と考えられる胆泥形成により急性胆管炎を生じ、内視鏡的乳頭切開術に至った成人男性の1例

演者 梶原 慎一郎(高木病院)
共同演者 角田 千夏(高木病院), 阿座上 聖史(高木病院), 森田 秀佑(高木病院), 西田 宏二(高木病院)
抄録 症例は75歳男性。急性気管支炎に対しセフトリアキソン1g/dayを外来で2週間点滴投与されていた。炎症反応上昇が遷延したため入院加療となり、入院時胸部単純CT上急性肺炎と胸膜炎と診断されセフトリアキソンを2g/dayに増量された。入院時CTでは胆泥や胆石、総胆管結石は認められなかった。入院6日目に心窩部痛を訴えたため、腹部単純CTを行ったところ下部総胆管に高吸収域を認めた。vital signは異常なく、心窩部に疼痛および圧痛を認めた。AST 62U/I、ALT 51U/I、ALP 460U/I、γGTP 267U/Iと上昇がみられ、WBC 7680/μl、CRP 0.88mg/dlで炎症反応上昇は軽度であった。急性胆管炎および総胆管結石疑いと診断し、絶食、スルバクタム/セフォペラゾン3g/day点滴投与を行った。また内視鏡的胆道造影にて下部総胆管に浮遊するdebrisを認め、内視鏡的乳頭切開術後にバルーン砕石を行いdebrisを排出した。その後症状は消失し、肝胆道系酵素および炎症反応も速やかに低減し正常化した。治療後の腹部単純CTにて下部総胆管の高吸収域は消失していた。小児に対するセフトリアキソン投与に伴う胆泥、胆石形成は報告が散見されるが、成人男性での報告例は少なく、胆管炎を発症し内視鏡的乳頭切開術に至った症例は稀である。胆泥形成にはセフトリアキソン2g/dayまたは40mg/kg以上を9日間以上投与した際に有意に増加するという報告がなされている。本症例も1g/dayを2週間投与された際には明らかな胆泥形成を認めなかったが、2g/dayに増量後6日目には形成が確認されており、用量依存性が示唆された。セフトリアキソン投与時には、胆泥・胆石が形成される可能性があることを十分認識し、腹部症状が出現した際には速やかに胆道系の精査および加療を行うことが必要と考えられるため報告する。
索引用語 セフトリアキソン, 胆泥