セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
---|---|
タイトル | 研55:再燃を繰り返したClostridium difficile腸炎の1例 |
演者 | 森山 幹彦(福岡大学医学部消化器内科) |
共同演者 | 石橋 英樹(福岡大学医学部消化器内科), 冨岡 禎隆(福岡大学医学部消化器内科), 塚本 真仁(福岡大学医学部消化器内科), 縄田 智子(福岡大学医学部消化器内科), 阿部 光市(福岡大学医学部消化器内科), 船越 禎広(福岡大学医学部消化器内科), 渡邉 隆(福岡大学医学部消化器内科), 山口 真三志(福岡大学医学部消化器内科), 江口 浩一(福岡大学医学部消化器内科), 青柳 邦彦(福岡大学医学部消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学医学部消化器内科) |
抄録 | 今回、再燃を繰り返した偽膜性腸炎の1例を経験したので報告する。症例は70歳代、女性。元来、高血圧・甲状腺機能低下症のため加療されていた。2010年12月、発熱を主訴に当院循環器内科へ紹介入院。入院後軟便が持続するため下部消化管内視鏡検査を施行。内視鏡検査では、S状結腸に発赤を伴う浮腫状粘膜を認めるのみであったが、便培養にてCDトキシン陽性でありClostridium difficile 腸炎と診断し、メトロニダゾール(1g/日)内服を10日間投与した。内服加療後、症状・内視鏡所見ともに改善を認め退院となった。2011年2月、発熱・水様性下痢(10行/日)を主訴に当科受診。下部消化管内視鏡検査を施行し、直腸からS状結腸にかけて黄色調の偽膜を多数認めた。CDトキシン陽性であり偽膜性腸炎の再燃と診断しメトロニダゾール(1g/日)内服を14日間投与した。内服加療後、症状・内視鏡所見ともに改善を認め、2回目の再燃であったため、メトロニダゾール内服を漸減し、2月27日に退院。5月、発熱・水様性下痢(4行/日)を主訴に当科へ救急搬送。ショック状態であり、循環血漿量減少性ショックと判断し急速輸液・昇圧剤投与を開始した。翌日、循環動態は安定しS状結腸内視鏡検査を施行した。直腸に黄色調の偽膜を多数認めた。CDトキシン陰性であったが、内視鏡所見より偽膜性腸炎再燃と診断した。3回目の再燃であり、バンコマイシン漸減療法(500mg分4、375mg分3、125mg分1を各1週間ずつ内服、更に125mgを隔日および3日に1回各2週間内服)を施行した。内服開始1週間目には症状および内視鏡所見の改善を認め、7週間目(内服終了時)に下部消化管内視鏡検査を施行し治癒を確認した。偽膜性腸炎は30%が再発し、再発例の65%が2回以上の再発を繰り返し、再発の危険因子は、1.複数の抗菌薬の併用、2.65歳以上の高齢、3.基礎疾患が重篤、4.血清アルブミン値2.5g/dl以下、5.集中治療室での治療などが報告されている。本症例では、65歳以上の高齢であること・入院時の血清アルブミン値が2.5g/dl以下であったことが挙げられる。現在、再燃は認めず経過良好である。 |
索引用語 | 大腸, 感染症 |