セッション情報 一般演題

タイトル 133:

発作性夜間血色素尿症に合併した肝細胞癌の一例

演者 大園 芳範(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野)
共同演者 中村 憲一(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 楠元 寿典(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 岩切 久芳(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 日高 智徳(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 蓮池  悟(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 永田 賢治(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野), 近藤 千尋(宮崎大学医学部外科学講座腫瘍機能制御外科学), 千々岩 一男(宮崎大学医学部外科学講座腫瘍機能制御外科学), 下田 和哉(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学分野)
抄録 【はじめに】発作性夜間血色素尿症(Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria ; PNH)は、補体制御因子の欠損によって血球の補体感受性が亢進し血管内溶血を生じる後天性疾患である。アシドーシス(就寝時の低酸素)や感染などのストレスで溶血が誘発されるため、典型例では夜間に血管内溶血を起こし早朝起床時の血色素尿を特徴とする。手術の際は呼吸性アシドーシスや手術侵襲に注意が必要である。【症例】66歳、男性【生活歴】焼酎2合/日、喫煙10本/日、輸血歴なし【現病歴】2010年1月に感冒症状と倦怠感、早朝褐色尿を認め近医を受診した。Hb 5.4と著明な貧血と肝障害(AST 274, ALT 122, LDH 1820, T-Bil 2.12, D-Bil 0.4)、画像検査で肝内腫瘤を指摘された。貧血と肝内腫瘤の精査加療目的で2月に当科へ入院となった。ウイルスマーカーは陰性で、腫瘍マーカーも正常であった。 ハプトグロビン感度以下、Coombs試験陰性、尿潜血(+/-)、末梢血抗CD55および抗CD59モノクローナル抗体でPNHタイプ血球であった。腹部エコー検査 肝S6に径3cmの辺縁明瞭で低エコー帯を伴う、内部モザイク状の腫瘤、腹部CT検査 動脈相で濃染、門脈相でwash-outされる3cm大の腫瘤、明らかな血栓症は認めず【臨床経過】肝内腫瘤は画像検査で肝細胞癌と診断した。臨床的経過とPNHタイプ血球を認めたことからPNHと診断した。手術侵襲を考慮し十分な周術期管理を行い、肝S6部分切除術を施行した。病理検査では肝細胞癌、背景肝は正常肝であった。術後1.5年で肝細胞癌の再発なく経過中である。【結語】溶血、易感染性、感染後の溶血発作からPNHを疑い肝細胞癌の術前にPNHを診断し、良好な治療経過が得られた。PNHに肝細胞癌を合併したまれな症例と考えられたため報告した。
索引用語 肝臓癌, 発作性夜間血色素尿症