セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 161:不正性器出血を契機に発見された膵癌の一例 |
演者 | 安元 真希子(久留米大学医学部 病理学講座) |
共同演者 | 真田 咲子(久留米大学医学部 病理学講座), 岡部 義信(久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門), 園田 豪之介(久留米大学医学部 産科婦人科学講座), 牛島 知之(久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門), 佐々木 優(久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門), 石田 祐介(久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門), 杉山 元(久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門), 内藤 嘉紀(久留米大学医学部 病理学講座), 中山 正道(久留米大学医学部 病理学講座), 安永 昌史(久留米大学医学部 外科学講座), 牛嶋 公生(久留米大学医学部 産科婦人科学講座), 木下 壽文(久留米大学医学部 外科学講座), 鶴田 修(久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門), 矢野 博久(久留米大学医学部 病理学講座) |
抄録 | 症例は40歳女性。不正性器出血を主訴に近医産婦人科を受診した。超音波検査で骨盤内腫瘤を認め、骨盤部MRIで卵巣腫瘍を指摘されたため、精査目的で当院婦人科へ紹介受診となった。双手診で、左付属器領域に可動性のある弾性硬の腫瘤を触知した。血液生化学検査では、CA125 40U/mL, CEA 25.6 ng/mLと上昇をみる以外、特記異常所見は認めなかった。経膣超音波検査では径80mm大の充実性成分と嚢胞性成分の混在する腫瘤を認め、右卵巣にも30mm大の同様の所見を呈する腫瘤を認めた。骨盤部CT・MRIで左右付属器領域に、腫瘤内部に多数の嚢胞性成分と不整な充実性成分を有する腫瘍として認められた。以上の画像所見より卵巣癌を疑ったが、腫瘍マーカーの解離をみること、腫瘍は可動性良好で両側性であることより、転移性卵巣腫瘍の可能性を考慮し全身検索を開始した。頚・胸部及び上部及び下部内視鏡検査で異常所見は認めなかったが、腹部CTで膵尾部の主膵管拡張を認めた。CTでは膵内に明らかな腫瘍性病変は指摘できなかったが、EUSで膵体部に径14mm大の境界不明瞭な低エコー腫瘤と同部より尾側の主膵管拡張を認めた。ERCPでは、膵体部主膵管の途絶を認めたが、膵液細胞診では悪性所見は得られなかった。FDG-PETでは骨盤内に異常集積を認めるのみであった。十分なInformed consentのもと、両側付属器摘出術+腹式単純子宮全摘術が施行された。開腹時に腹腔内に播種や明らかなリンパ節の腫大はなく、術中迅速病理所見で卵巣腫瘍は転移性腺癌と診断されたため、膵体尾部切除を追加施行した。最終病理診断は径15mmの浸潤性膵管癌、及び両側卵巣にも同様の組織形態を有する腺癌を認めたため卵巣転移と診断した。卵巣は、しばしば他臓器悪性腫瘍からの転移が見られ、胃癌、大腸癌、乳癌の頻度が高いとされているが、膵臓癌の卵巣転移の報告例は少ない。また、本例のようなTS1膵癌の卵巣転移例は稀と考えられたため、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 膵臓癌, 卵巣転移 |