セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研28:

胆嚢及び肝外胆管を占拠した内腔発育型の胆嚢癌肉腫の一例

演者 白水 寛理(公立学校共済組合九州中央病院)
共同演者 長谷川 博文(公立学校共済組合九州中央病院), 工藤 健介(公立学校共済組合九州中央病院), 二宮 瑞樹(公立学校共済組合九州中央病院), 中村 俊彦(公立学校共済組合九州中央病院), 濱津 隆之(公立学校共済組合九州中央病院), 椛島 章(公立学校共済組合九州中央病院), 牛島 千衣(公立学校共済組合九州中央病院), 北村 昌之(公立学校共済組合九州中央病院), 中守 真理(公立学校共済組合九州中央病院)
抄録 胆嚢癌肉腫は,1971 年に山際が本邦で最初の報告をして以来、報告例が少ないまれな組織型である。我々は、胆嚢及び肝外胆管を占拠した内腔発育型の胆嚢癌肉腫を経験したので報告する。症例は77歳、女性、腹痛を主訴に近医受診。腹部エコーで胆石、総胆管結石を認めたため、当院紹介となった。CT、MRCPで胆嚢拡張、内部に結石複数認められ、肝内胆管両葉拡張、上部胆管拡張しており、中部胆管に内腔発育型腫瘍の存在が疑われた。また、胆嚢内にも同様の性状の腫瘍が疑われた。ERCでは左右肝管合流部から総胆管下部に造影不良を認めた。CT、MRI、ERC(ENBDより造影)の所見より左右肝管合流部から総胆管下部の内腔発育型腫瘍が考えられたため、予定術式として胆管の切離線を左右肝管合流部基部とする膵頭十二指腸切除術を考慮した。しかし術中所見では膨張性発育型であったため、拡大胆嚢摘出術、肝外胆管切除術、リンパ節郭清を施行、Roux-en-Y再建にて胆管空腸吻合を施行し手術を終了した。組織学的には横紋筋肉腫を伴う肉腫成分と管状腺癌からなる癌肉腫で、深達度はssであり、リンパ節転移はなかった。組織学的な進行度はpT2pN0P0M(-)でfStage2であった。癌肉腫とは同一の腫瘍内に上皮由来の癌腫と間葉由来の肉腫の両方が混在するまれな腫瘍であり、癌肉腫は「真の癌肉腫」と「いわゆる癌肉腫」に大別される。本症例では免疫組織化学的検討にて肉腫成分で上皮性マーカー陰性かつ間葉系マーカー陽性、癌腫成分で上皮性マーカー陽性かつ間葉系マーカー陰性であり、真の癌肉腫と判断した。胆嚢癌肉腫は胆嚢壁にびまん性に浸潤する癌とは対照的に胆嚢内腔に乳頭状に発育する腫瘍で胆嚢癌に比し予後は比較的良好とされている。文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胆嚢, 癌肉腫