| 共同演者 |
松井 亜弓（北九州総合病院 研修医）, 奥田 哲（北九州総合病院 研修医）, 藤村 彰（北九州総合病院 研修医）, 篠原 育代（北九州総合病院 外科）, 黒田 宏昭（北九州総合病院 外科）, 坂本 喜彦（北九州総合病院 外科）, 永田 直幹（北九州総合病院 外科）, 實藤 隼人（北九州総合病院 臨床検査部・研究部） |
| 抄録 |
【症例】75歳、男性【主訴】嘔吐、下痢【現病歴】高血圧で近医通院中であった。体重減少があり、2011年5月より立ちくらみが出現、嘔吐、下痢、心窩部痛、黒色便、食欲不振をきたすようになり、精査のため当院へ紹介され、5月11日受診・入院した。入院時には顔面蒼白で、疲労感を感じていた。眼球結膜に黄疸はなく、眼瞼結膜には貧血を認めた。【入院時検査所見】TP 6.4 g/dl, BUN 20.7 mg/dl, T-Bil 0.4 mg/dl, AST 16 IU/L, ALT 13 IU/L, TIBC 423 μg/dl, UIBC 411 μg/dl, WBC 5500/μl, RBC 410x104/μl, Hb 7.8 g/dl, Ht 28.3 %, CEA 1.7 ng/ml, CA 19-9 39.9 U/ml, AFP 158.4 ng/ml, HBs-Ag (-), HCV-Ab (-). 【入院後経過】上下部消化管内視鏡検査で胃に2ヶ所の腫瘍を認め、上行結腸にも全周性腫瘍を認めた。開腹下に、胃および上行結腸切除術が施行された。術後経過は良好で術後16日で退院した。【病理所見】胃にはmod diff adenocarcinomaおよびmucinous carcinomaを認め、術後検査により十二指腸にもcarcinoidを認めた。また、上行結腸にはmod diff adenocarcinomaを認め、4重複腫瘍であった。免疫染色で胃のmain tumorは一部でAFP産生を示した。また、carcinoidはchromogranin A、synaptophysinおよびgastrin陽性を示した。【考察】同時多発胃癌は時々見られ、それほど稀ではない；胃癌の10-20%と報告されている。本症例には上行結腸癌および十二指腸carcinoidも合併しており、極めて稀な組み合わせの同時発生四重複腫瘍である。今後、さらに異時性癌が発生する危険をはらんでいる。今後も慎重に経過観察を要する。重複腫瘍（癌）について文献的考察を加えて報告する。 |
