セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 106:中枢神経浸潤をきたした腸症関連T細胞性リンパ腫の1例 |
演者 | 関屋 洋紀(九州大学大学院病態機能内科学) |
共同演者 | 相原 成志(九州大学大学院病態機能内科学), 鷲尾 恵万(九州大学大学院病態機能内科学), 浅野 光一(九州大学大学院病態機能内科学), 中村 昌太郎(九州大学大学院病態機能内科学), 鴨打 正浩(九州大学大学院病態機能内科学), 平橋 美奈子(九州大学大学院形態機能病理学), 真鍋 達也(九州大学大学院臨床腫瘍外科), 秦 暢宏(九州大学大学院脳神経外科), 大賀 才路(九州大学大学院臨床放射線医学), 加藤 光次(九州大学大学院病態修復内科学), 竹下 盛重(福岡大学医学部病理学), 家守 光雄(かもりクリニック), 松本 主之(九州大学大学院病態機能内科学), 北園 孝成(九州大学大学院病態機能内科学) |
抄録 | 症例は66歳男性。2010年2月より腹痛が出現し徐々に増強した。その後、腹部膨満、食欲不振、下痢も出現し、半年で16kgの体重減少を認めた。CT検査で回腸の壁肥厚、周囲リンパ節腫大を指摘され、同年9月に当科に紹介入院となった。経口小腸造影で中部小腸に屈曲した長い管腔狭窄を認め,口側腸管の拡張を伴っていた。経口ダブルバルーン内視鏡では中部小腸に全周性の潰瘍性腫瘤を認め、高度狭窄を伴っていた。潰瘍辺縁からの生検で悪性リンパ腫が疑われた。FDG-PETでは中部小腸の腫瘍に一致した異常集積以外には異常を認めなかった。10月に腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した。切除標本の病理組織検査で腸壁全層におよぶ中型の異型リンパ球浸潤を認め、免疫染色で腫瘍細胞はCD3、CD56およびgranzyme B、TIAに陽性、CD20、CD79a、CD4、CD8には陰性であり、タイプIIの腸症関連T細胞性リンパ腫(enteropathy-associated T-cell lymphoma; EATL)と診断した。11月のCTおよびFDG-PETで腸間膜、後腹膜、腹部大動脈周囲および左鎖骨上窩のリンパ節が累々と腫大していた。残存リンパ腫の増悪、Lugano分類で臨床病IV期と診断し、12月20日よりCHOP療法を6コース施行した。2011年3月のFEG-PETでは異常集積は認めず、完全寛解と判断し、以後外来で経過観察となった。2011年7月末より、短期記銘力障害が出現し急速に進行した。頭部MRで左視床に境界不明瞭な腫瘤性病変を認め、8月9日に当科緊急入院となった。頭部および脊椎MRで左視床~左側脳室の壁に沿って進展する増強腫瘤を認め、さらに第3脳室、右側脳室、腰仙部の硬膜外腔にも増強信号を認め、リンパ腫の浸潤と考えられた。髄液細胞診でリンパ腫細胞を認め、EATLの中枢神経浸潤と診断し、放射線全脳照射およびメソトレキセート髄腔内投与を開始した。EATLの治療後に中枢神経浸潤をきたした稀な症例と考えられ、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 腸症関連T細胞性リンパ腫, 中枢神経浸潤 |