セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専59:

十二指腸カルチノイドの1手術例

演者 本成 永(浦添総合病院 消化器病センター 外科)
共同演者 伊佐 勉(浦添総合病院 消化器病センター 外科), 伊志嶺 朝成(浦添総合病院 消化器病センター 外科), 谷口 春樹(浦添総合病院 消化器病センター 外科), 白井 智子(浦添総合病院 消化器病センター 外科), 小網 博之(浦添総合病院 消化器病センター 外科), 西垣 大志(浦添総合病院 消化器病センター 外科), 亀山 眞一郎(浦添総合病院 消化器病センター 外科), 松村 敏信(浦添総合病院 消化器病センター 外科), 長嶺 義哲(浦添総合病院 消化器病センター 外科), 古波倉 史子(浦添総合病院 消化器病センター 外科), 松川 しのぶ(浦添総合病院 消化器病センター 内科), 仲村 将泉(浦添総合病院 消化器病センター 内科), 内間 庸文(浦添総合病院 消化器病センター 内科)
抄録 症例は38歳女性。健診で十二指腸隆起性病変を指摘され、精査目的に当院受診。上部消化管内視鏡検査で、乳頭対側に10mm大の頂部にびらんを伴う粘膜下腫瘍を認め、生検でカルチノイドと診断された。ChromograninA、Synaptophysinはともに陽性であった。EUSでは5×7mmの低エコー像を認め、深達度はsmと診断された。腹部超音波検査、造影CT検査で明らかなリンパ節転移や遠隔転移は認めなかった。インフォームドコンセントの結果、リンパ節郭清を含めた摘出術を希望したため、D2リンパ節郭清を伴う幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)を施行した。術後一過性の膵液瘻を認めたものの保存的加療を行い、術後14日目より食事を開始し、術後42日目に退院となった。病理組織検査の結果、6×6×5mmの十二指腸粘膜から粘膜筋板下までの腫瘍細胞を認め、索状配列、櫛状構造を伴い、筋板下には結合織の増生などを認めた。免疫染色ではChromograninAは弱陽性、SynaptophysinとCD56は腫瘍全体で陽性であり、カルチノイドと診断した。筋層への浸潤はなく、リンパ節転移も認めなかった。
十二指腸カルチノイドに対する治療として10mm未満であれば内視鏡的切除、10~20mmであれば局所切除、20mm以上の場合リンパ節郭清を伴った切除を行う方針とする報告が多い。しかしながら10mm以下の病変であっても数%でリンパ節転移があるとの報告もあり、治療方針について一定の見解はない。解剖学的特性から郭清を伴う外科切除は侵襲がとても大きくなるが、十二指腸病変に対する内視鏡的切除は薄い腸間壁、スコープの操作性の点から技術的に高いレベルが要求され、穿孔率が高く、合併症もより重篤となる可能性がある。従って、十分なインフォームドコンセントのもとでその治療法を決定する必要がある。今回我々は、PPPDを行った十二指腸カルチノイドの症例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 十二指腸カルチノイド, PPPD