セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専62:カプセル内視鏡にて小腸出血を診断しコイル塞栓術にて止血し得た小腸動静脈奇形(AVM)による消化管出血の一例 |
演者 | 永山 林太郎(福岡大学筑紫病院 消化器内科) |
共同演者 | 別府 孝浩(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 山岡 梨乃(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 久原 研二郎(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 二宮 風夫(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 佐藤 祐邦(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 大門 裕貴(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 矢野 豊(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 境 隆暢(福岡大学筑紫病院放射線科), 東原 秀行(福岡大学筑紫病院放射線科) |
抄録 | 症例は70歳代女性。平成22年8月頃より黒色便を認めたため近医受診し、上下部消化管内視鏡検査を施行したが明らかな出血病変なく経過観察となった。同年10月頃に再び黒色便を認め近医受診。直腸S状結腸内視鏡で黒色便を多量に認め、貧血の進行のため当院紹介入院し、カプセル内視鏡(CE)では、下部小腸に新鮮血貯留を認め、微小な血管病変を疑った。上部消化管内視鏡(GIS)では胃角部、胃前底部大彎に毛細血管拡張所見を認めた。入院後貧血の進行はなく、鉄剤投与で改善したため一旦退院となった。しかし、本年6月3日に再び黒色便が出現したため当院受診。GISでは明らかな出血源は認めなかった。以前の病歴も併せて小腸出血を疑いCEを施行。上~中部小腸に血管異形成を疑う所見を散見し、下部小腸に新鮮血を認めた。その後、経肛門的小腸内視鏡(DBE)を施行し、回盲部から35cmまでには特に出血所見は認めなかったが、癒着の為にそれ以上深部小腸への挿入は不可能であった。経口的DBEでは上~中部小腸に血管異形成を認めた。貧血の進行や活動性出血がなく退院した。しかし、本年7月25日再度黒色便を認めたため当院受診。緊急全大腸内視鏡検査(TCF)では全結腸に黒赤色の残渣を認めたが、出血源は認めず。入院後、貧血進行と鮮血便を認めたため、これまでの経過より下部小腸からの出血を強く疑い、止血目的で腹部血管造影(AG)施行。右大腿静脈より上腸間膜静脈から回結腸静脈末端への造影では、回腸粘膜内にAVM様の所見を5~6ヵ所認め、1ヵ所にはextra vasationを認めたため、同部に対してコイル塞栓術を施行した。AG後にCE施行したところ、下部小腸に血管異形成を疑う発赤調粘膜を数個認めたが、AGにて指摘されたAVMは特定できず。その後症状の再発はなく経過良好である。CEにて小腸血管性病変を疑い、AGにて診断と止血が可能であった一例を経験したため文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 小腸動静脈奇形, 小腸出血 |